ASTRAZENECA PLCAZN

時価総額
PER
革新的医薬品の最大手。がん、循環器、希少疾患向けのバイオ医薬品や放射性標的治療を展開。2024年6月にFusionを2,195百万ドルで買収。2024年の製品売上は50,938百万ドル、80カ国超で展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

ASTRAZENECA PLCはグローバルに処方薬の研究・開発、製造、販売を手掛けるバイオ医薬企業で、特にがん、心血管・腎・代謝、呼吸器・免疫、希少疾患向けの治療薬を主力としています。 同社は新薬候補の探索から臨床開発、量産・上市まで一貫して取り組み、多数の主力製品で売上を築いています。

同社の顧客は病院や医薬品卸、公的医療制度や保険者などで、売上の大部分は製品売上(処方薬の販売)から成ります。 地域別では北米が大きな収益源であり、卸への納品時点で売上を計上するため特定の卸に売上が集中することがあります。 また、共同開発やライセンス契約による収益分配やロイヤリティも重要な収入源です。

事業は会計上は一つの医薬品事業として統合管理されており、実務ではがん、希少疾患、心血管・腎代謝、呼吸器・免疫といった治療領域ごとに製品群と研究開発を展開しています。 同社は研究開発投資と買収でパイプラインを強化しており、新薬の承認、保険償還、特許や競争環境が業績に直接影響します。

経営方針

同社は持続的なトップライン成長とパイプライン価値の最大化を目指しています。実際、2024年の製品売上は約509億ドルと前年の約438億ドルから約16%増加しており、特に米州(約251億ドル)と新興市場(約135億ドル)の伸びが寄与しました。財務面では手元流動性と運転資本を十分と位置付け、将来の成長投資や研究開発の対価として想定されるマイルストーン支払(研究開発関連で最大約112億ドル、売上関連で最大約221億ドル)を織り込んだ資本配分を行っています。

同社は重点投資分野としてがん(オンコロジー)、希少疾患、循環器・腎・代謝(CVRM)領域に資源を集中しています。オンコロジーではEnhertuやTagrisso、Imfinziなど複数の主力薬を持ち、希少疾患分野ではUltomirisの米国売上が前年比29%増と高い伸びを示しています。差別化策としては高度に特化したバイオ医薬品や放射性標的治療(ラジオコニュゲート)など次世代の治療技術を取り込み、社内での製造・供給体制を強化(固定資産は約102.5億ドル、将来の設備投資契約は約15.75億ドル)することで、競合に対する優位性を築いています。

新市場開拓と事業拡大については中国やその他の新興市場での成長を重視しており、2024年の新興市場売上は約135億ドルで前年から二桁成長しています。中国での保険償還(NRDL)採用や現地での製品投入により市場シェアを拡大しており、製品導入後の収益化を速めるための提携・ライセンスインや買収も積極的に行っています。実際に2024年は放射性薬剤を手掛けるFusionを約21.95億ドルで買収し、放射性同位体を用いる新規がん治療の獲得と製造能力の取り込みを進めました。

技術革新への取り組みでは、社外との共同開発や段階達成で支払うマイルストーン型契約を活用してリスクを分散しつつパイプラインを拡充しています。放射性薬剤のような先端領域へはM&Aで専門技術を取り込み、社内では研究開発投資やIT・データ・製造インフラへの投資を進めて開発速度と品質を高めています。また、開発段階の重要な節目で支払を資産計上する会計方針を採ることで、将来収益の見通しに基づく投資評価を実務的に行っている点も特徴です。