ACUITY INC. (DE)AYI

時価総額
$110.4億
PER
照明とビル管理ソリューションの米国最大手。LED照明、照明制御、ビル管理ソフトを展開。2023年5月にKE2 Therm買収、2024年10月にQSCを約12.15億ドルで買収契約。北米中心に国際展開。

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企業概況
96文字)
業績概況
テーマ
ブランド
3項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

ACUITY INC. (DE)は、空間と光に関する課題を技術で解く産業向けテクノロジー企業です。同社は照明器具や照明制御機器、建物管理ソフトや位置情報を活用したアプリなどを設計・製造・販売し、LEDを中心に省エネで快適な光環境を提供しています。製品とソフトを組み合わせたソリューションで顧客の運用改善を目指しています。

主要顧客は電気資材の流通業者や小売店、電力会社、大口法人、機器メーカー、導入業者などで、売上は主に北米の商業施設や企業キャンパス向けが中心です。同社の売上の約99%が照明・照明制御・建物関連の製品・ソリューションによるもので、国内が大半を占めます。販売は販売代理店網や社内営業、量販チャネルや大口への直接販売を組み合わせ、流通センターや自社工場から顧客に納品しています。

事業は大きく照明事業とインテリジェント空間事業の二本柱に分かれます。同社の照明部門は商業・建築・特殊用途向けの器具とそれを統合する制御システムを提供し、インテリジェント空間部門は空調や出入口、冷蔵設備などを含む建物管理ソリューションと連携して運用効率と省エネを高めています。必要に応じて制御機器やソフトの分野で買収を行い、製品とサービスの幅を拡充しています。

経営方針

同社は持続的な売上・利益成長を目指しています。直近の2024会計年度の連結売上高は約38.4億ドルで、そのうち米国内が約32.6億ドル、海外が約5.8億ドルと、まずは北米市場でのシェア維持・拡大を重視しています。経営陣は資本配分の優先順位を「既存事業への投資」「戦略的買収」「配当支払い」「自社株買い」と明確にしており、2024年度は設備投資に約6,400万ドルを投じ、配当として1,820万ドル(1株当たり0.58ドル)を支払い、自社株を約50万株(買戻し額約8,780万ドル、総現金流出は約8,870万ドル)買い戻しました。

同社は製品の価値向上とサービス水準の引き上げに重点投資して差別化を図っています。照明領域では主力の器具や制御製品を含め、LED(発光ダイオード)を中心とした省エネ製品群と、顧客向けの設計・保守サービスを組み合わせることで競合と差別化しています。人材育成や現場ノウハウ強化にも投資しており、社員向け学習プラットフォームや社内研修(Acuity Academy)で技術力と販売力の強化を進めています。さらに、製造や流通の効率化、拠点統合などの合理化で生産性を高める施策も実行しています。

同社は買収を成長の重要な手段と位置づけ、新市場や事業領域の開拓を進めています。近年の具体例では、2023年5月に冷蔵制御のKE2 Thermを買収し、2024年1月には園芸用照明Arizeの資産を取得しました。さらに2024年10月に公表したQSC買収は買収対価約12.15億ドルを見込み、これを現金と最大6億ドルのタームローンで賄う計画であり、音響・映像分野への横展開を狙っています。こうしたM&Aを通じ既存の照明・ビル管理ソリューションに新たな機能や顧客基盤を加え、サービス型ビジネスやソリューション売上比率の向上を目指しています。

同社は技術革新を通じて製品とサービスの差別化を目指しています。ISG(インテリジェントスペース)部門では「エッジからクラウドへ」を掲げ、照明・空調・アクセス管理を統合するビル管理ソフトウェアや位置情報を活用したアプリを推進しています。サイバーセキュリティ対策は最高情報セキュリティ責任者(CISO)主導で、Secure Controls Frameworkなどの基準に沿った体制を整備しており、製品開発だけでなく運用・保守面の信頼性向上にも取り組んでいます。一方で新製品の採用タイミングや在庫の陳腐化リスクも認識しており、管理体制の強化や段階的な導入支援で技術投資の実効性を高めようとしています。