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Axalta Coating Systems Ltd.AXTA
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事業内容
Axalta Coating Systems Ltd.は、工業用および自動車向けの塗料と塗装ソリューションを設計・製造・販売している企業です。同社は色を出すベースコートや光沢を出すクリアコート、錆や傷を防ぐプライマーや電着塗装、粉体塗料など幅広い塗料製品を扱い、塗装工程の改善や色合わせなどの技術支援も行っています。
同社の主要顧客は自動車メーカー(ライトビークルや商用車のOEM)、自動車修理業(ボディショップ)および各種工業メーカーです。販売は世界的な独立販売店ネットワーク(約5,000社)や一部直販の店舗を通じて行われ、モビリティ向け上位顧客の上位10社でモビリティ塗料売上の約62%を占める一方、パフォーマンス向けの上位10社は売上の約20%を占めます。
事業は大きく「モビリティ(自動車向け)塗料」と「パフォーマンス(修理・工業向け)塗料」に分かれ、モビリティでは「基幹の外装用コート」「先進機能を持つソリューション」「生産性向上のためのコンサルティング」といったラインを揃えています。グローバルな生産・技術体制も強みで、世界各地に製造拠点や主要技術センターを持ち、フィラデルフィアのグローバルイノベーションセンターを含む研究開発や顧客教育の設備で新製品開発と現場支援に注力しています。
経営方針
同社は「2024 Transformation Initiative」と三年計画の「2026 A Plan」を通じて、組織の簡素化と収益性の改善を目指しています。具体的には、グローバルで約600人の人員削減を見込み、総額約75百万ドルの税引前特別費用(うち約70百万ドルが解雇関連費、約5百万ドルが減価償却の繰上計上)を計上する一方、キャッシュ支出は設備移転等を含め100〜110百万ドルを想定しています。株主還元策として取締役会は7億ドルの自己株式買付枠を承認しており、現時点で約6億ドルが残っています。また成長面では、2024年7月に北米の経済向け補修ブランドCoverFlexxを2.9億ドルで買収するなど、選択的なM&Aで市場ポジションの強化を図っています。
同社は重点投資分野として技術開発と顧客サポートに資源を集中させ、これを差別化の柱としています。具体的には世界に4つの主要技術センターと約25の地域ラボを持ち、約1,300人を技術開発に専任させる体制を整備しており、特に自社のGlobal Innovation Center(フィラデルフィア)を中心に研究・製品開発を進めています。加えて44の製造拠点と45の顧客トレーニングセンターを持つ広域な供給網を活用し、短納期の供給や現場での技術支援によって大手OEMや塗装修理業者に対して高付加価値のサービスを提供することで競合他社と差別化しています。
新市場開拓や事業拡大では、補修市場の下位層(エコノミー向け)や地域別のOEM需要を取り込む戦略を進めています。CoverFlexx買収は北米のエコノミー補修セグメントを強化する明確な施策であり、欧州での複数の買収や合弁事業(合弁は計7件)も通じて地域展開を進めています。製造能力の最適化のために30〜40百万ドル程度の設備投資を見込みつつ、現地での配給チャネルやディストリビュータ網の統合・協業を進め、成長著しいOEMや新興市場でのシェア拡大を目指しています。
同社は技術革新を事業成長の原動力と位置づけ、環境対応や電動化、用途の高度化に応える製品群の開発を強化しています。特に電気自動車向けの外装保護、LiDAR/レーダー等のセンサー特性に配慮したコーティング、二色塗りやデジタル塗装などの「Advanced Mobility」領域に注力しており、約680件の登録特許と約220件の出願中特許、520件超の商標で知財基盤を固めています。さらに現場生産性向上やCO2削減を支援するサービス(工程設計、コスト・CO2モデリング等)を提供することで、単なる塗料供給からソリューション提供企業への転換を図っている点が特徴です。