AXIS CAPITAL HOLDINGS LTDAXS

時価総額
$79.1億
PER
特化型保険・再保険のグローバル最大手。プロフェッショナル、サイバー、物的損害、海事・航空等の特化型保険商品を展開。2024年5月に最大3億ドルの自社株買い枠承認、2024年12月31日時点で普通株主資本55億ドル、総資産325億ドル。バミューダ本社で米国・欧州・アジア太平洋で展開。

事業内容

AXIS CAPITAL HOLDINGS LTDは、グローバルに展開するスペシャリティ保険・再保険の引受会社で、企業や金融機関向けに専門的なリスク移転ソリューションを主力に提供しています。本社はバミューダにあり、米国、カナダ、欧州、アジアなど複数の拠点を通じて大きな引受能力と堅固な財務基盤を活かして事業を展開しています。

同社の主要顧客は商業企業や金融機関、世界中の保険仲介業者(ホールセール/リテール)、および一部のマネージング・ジェネラル・エージェントやアンダーライターです。収益は主に保険料による引受収入が中心で、保有資産の運用益や手数料収入も利益源となっており、市場環境に応じて資本配分を調整しながら収益性を追求しています。

同社は事業を複数の保険ラインに分けて運営しており、代表的にはプロフェッショナルライン(役員賠償、専門職賠償、医療過誤など)、物的被害を補償する損害保険(建物・営業中断・工事・再生可能エネルギー等)、一般賠償、サイバーリスク、海運・航空(洋上エネルギーや貨物、船体等)、傷害・健康、信用・政治リスク(国家・企業の債務不履行や没収リスク、保証業務)など多岐にわたる商品を扱っています。加えて、再保険や資本市場と連動した取引も行い、ポートフォリオ全体をリスク許容度に沿ってバランスさせる運用を行っています。

経営方針

同社は「グローバルなスペシャリティ引受のリーダー」を目指して、安定的かつ収益性の高い成長を追求しています。具体的には2024年末時点で普通株主資本55億ドル、総資本74億ドル、総資産325億ドルという財務基盤を背景に、米国のエクセス&サープラス(非標準保険)やロイズのスペシャリティ保険といった高付加価値分野での拡大に注力しました。市場環境に応じては余剰資本を株式買戻し(2024年5月に最大3億ドルの買戻し枠を承認)や配当で株主還元する方針も明示しており、資本配分を通じた成長と株主価値向上を両立させようとしています。

重点投資分野としては、引受ポートフォリオのボラティリティ低減と収益性の高い分野への傾斜を掲げています。同社はリスク許容度と分散基準に基づいて資本を配分し、損害賠償対応力の高いクレーム処理や専門性の高い引受チームを差別化要因としています。再保険やサードパーティ資本との関係を活用してリスク移転や資本効率を高めるほか、Monarch Point Reへの出資(2023年に2200万ドル、2024年に1400万ドルの出資など)といった戦略的な持分投資も行い、再保険ポートフォリオの柔軟な運用を進めています。

新市場開拓と事業拡大では、既存のグローバル拠点(本社バーミューダ、米国、カナダ、ダブリン、ロンドン、チューリッヒ、ブリュッセル、シンガポール)を活用して北米製品能力の強化や地域展開を続けています。特に取引型の中堅市場(ローワーミドル市場)向けの専門取引を主要な流通パートナーと共同で狙う一方、新しい引受チームの追加や商品ラインの拡張を通じて顧客基盤を広げる計画です。成長機会が十分でない場合には資本の一部を還元する方針も維持しており、買収による拡大を行う際は統合リスク管理や人材確保にも注意を払っています。

技術革新への取り組みとしては、データとテクノロジーへの投資を明確に進め、AIを含む分析ツールで引受判断や顧客サービスを強化する方針です。業務プラットフォームやプロセスの効率化を目指す「How We Work」プログラムを実行し、サイバーセキュリティ対策は外部のフレームワーク(NIST)に沿って構築・テストしています。インシュアテック分野への出資も行っており(関連ファンドへの未拠出コミットメントや直接投資を通じて約数千万ドル規模の関与)、技術での差別化を実務レベルで進めています。