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Avery Dennison CorpAVY
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事業内容
Avery Dennison Corpは、主にラベルやパッケージ向けの素材と接着剤を製造し、テープや反射材、グラフィック素材、衣料の飾り付け製品などを手掛ける素材科学の企業です。同社はこれらの物理的な製品に加えて、無線タグなどを使ったデジタル識別やデータ管理といったサービスを組み合わせ、モノとデジタルをつなげるソリューションも提供しています。
顧客はブランドメーカー、流通業者、衣料・食品・日用品メーカーや物流事業者など多岐にわたり、売上は世界各地で発生していて約7割が米国外です。同社の収益は素材の販売が中心ですが、無線タグや棚端メディアなど付加価値の高いソリューションの比率を高める戦略を取り、第三者の流通業者を通じた販売や大型顧客への依存度が業績に影響します。
事業は大きくMaterials GroupとSolutions Groupの二つに分かれ、前者が粘着ラベル材、工業用テープ、グラフィック製品などの素材を扱い、後者がブランド装飾、タグ・ラベル、持続可能な包装、店頭向けの価格表示やロス防止、アイテム単位の可視化を含む情報ソリューションを扱っています。同社は研究開発と買収によって高付加価値分野を拡充し、製品とサービスを組み合わせた包括的な提供で差別化を図っています。
経営方針
同社は売上の拡大と事業の高付加価値化を成長の柱にしています。直近の連結売上高は約87.6億ドル(2024年)で、粗利益率は28.9%に改善しており、これは材料の再設計や生産性向上の取り組みによるものです。財務面では株式買戻しを継続しており、2024年は約1.2百万株、約2.48億ドルを買い戻しています。これらは資本配分の明確化と株主還元を重視する戦略の一環です。
同社の重点投資分野は「高付加価値製品」と「生産性向上」です。具体的には、耐久性の高いラベル材や工業用テープ、そして個品識別に用いるRFID(電波で個々の商品を識別する技術)などに資本と研究開発を集中させています。差別化は長年の材料技術とグローバルな生産・供給網、顧客に近いサービス提供に依拠しており、材料の再設計でコストを下げつつ製品性能を維持する施策を進めています。コスト構造の改善のために、2024年は約4200万ドルのリストラ関連費用を計上しました。
新市場開拓と事業拡大では、買収を通じたポートフォリオ強化が目立ちます。2023年にはSilver Crystal、Lion Brothers、Thermopatchを合計約2.31億ドルで取得し、Solutions部門の外装装飾やカスタマイズ分野を拡充しました。地域面では売上の約70%が米国外で計上されており、欧州やアジアを含むグローバルな製造・販売拠点を活かしてアパレル、物流、食品・日用品など成長分野へ展開しています。加えて、棚端表示や店頭メディアなど小売側のソリューション強化にも注力しています。
技術革新では材料科学とデジタル化の融合を重視しています。多層素材や粘着材の改良、RFIDやデータ管理プラットフォームによる「物理」と「デジタル」をつなぐソリューション開発に投資し、顧客の在庫可視化や販売分析を支援しています。サステナビリティ面では再生材の活用や温室効果ガス削減に向けた製品設計も研究対象で、社内外の協業やベンチャー投資を通じて技術の実装を進めています。これらの技術投資は、収益拡大と差別化両面の原動力として位置づけられています。