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Achari Ventures Holdings Corp. IAVHI
事業内容
Achari Ventures Holdings Corp. Iは、上場を通じて資金を集め、成長企業との事業統合(ビジネスコンビネーション)を目指す特定目的買収会社(SPAC)です。同社は買収候補の発掘・評価・交渉を行い、実際にVaso Corporationとの合併契約を締結するなど、対象企業との統合を通じた成長実現を目指しています。
同社自体は上場目的の投資車体であり、現時点で直接の営業顧客や継続的な事業収益はほとんどありません。将来の収益は買収・合併するターゲット企業の売上に依存し、ターゲットが抱える顧客基盤(例えば栽培事業者や機器導入企業、プラットフォーム利用者)からの製品販売やサービス収入、定期収入などで収益を得る構造を想定しています。
事業面では当初カンナビス関連に注目しており、主に設備(抽出・栽培・後処理機器)、ハードウェア(スケール可能な機器と知的財産)、テクノロジー(企業向けや消費者向けプラットフォーム、マーケットプレイス等)、ハイドロポニクス(精密農業や栽培投入材)の四つの垂直分野を重点候補として挙げています。これらは断片化した市場を統合してスケールメリットや収益性を高めることを狙いとし、成長率や収益性の高い企業を優先して買収候補に選定します。
経営方針
同社は初のビジネス・コンビネーション(合併・買収)を完了して公開持株会社としての成長を加速させることを成長戦略の中核に据えています。具体的には、既にVaso Corporationとの間で合意に達している取引があり、Vasoの評価額を1億7,600万ドル、Achari側の株価を1株あたり10ドルとして取引を構成しており、2024年第二四半期のクロージングを目標としています。投資基準としては、対象企業が過去と将来で年率30%超の成長を見込めること、最低でも年間売上5,000万ドルを有し5年で2億ドルへ到達する道筋があることなどを掲げ、これらの数値目標を達成することで中型・大型株へと移行することを目指しています。一方で2023年末時点で現金は48,395ドル、運転資本はマイナス4,125,881ドルと資金繰りに不安があるため、同社はパイプ(私募)やスポンサーからの資金調達、ワラントや信託口座の活用で資金を調達する計画です(過去に私募ワラントで約535万ドルを調達)。
重点投資分野は当初のカンナビス関連のフォーカスから拡張しており、機器(栽培や抽出のためのミッションクリティカル設備)、ハードウェア(スケール可能でブランド力や知的財産を持つ製品)、テクノロジー(B2BやB2B2Cのプラットフォーム、決済・物流・シードトゥーセールのソフト)、そしてハイドロポニクスや精密農業といった分野を重点的に検討しています。同社はこれらで差別化するため、参入障壁となる特許やブランド、再現性の高い収益モデル(定期収入)を重視し、細分化された市場を買収と統合でリード市場へとまとめる「ロールアップ」戦略をとります。経営陣は投資やM&Aでの経験を合わせて数十年の実績があり、このネットワークを活かして案件発掘と実行に積極的に関与する方針です。
新市場開拓と事業拡大では、国内では法律上直接的に植物に触れない「ノン・プラントタッチ」領域を優先しつつ、カナダやコロンビアなど規制が進んだ海外市場も視野に入れてグローバルに展開する計画です。具体策としては、公開株式を買収時の支払い手段として用いることで地域の小規模事業者をまとめ、買収後は営業チャネルやEコマース基盤の統合でコスト削減と売上拡大を図ります。Vasoとの取引はその実行例であり、契約では合併時にAchariの株式交換比率を基にサバイビングカンパニーを形成する仕組みを定めています(合意済みの評価額と株価に基づく)。
技術革新への取り組みとしては、投資対象に対してソフトウェアの導入やデータ駆動型の運用改善を速やかに実行し、顧客体験や生産性を高めることで「フライホイール効果」を生み出すことを重視しています。具体的には、定期収入を生むSaaS的なサービスや、機器・ハードでの差別化されたIP投資、精密農業でのセンシングや自動化投資に資本を振り向けます。また、公開会社としての信頼性確保のために経営管理体制の強化にも取り組んでおり、財務報告の内部統制に関しては既に「重大な弱点」を認識しているため、四半期ごとの評価や社外取締役の活用、監査対応などで改善を進める計画です。