Broadcom Inc.AVGO

時価総額
$1.63兆
PER
インフラソフトと半導体ソリューションの最大手。メインフレーム向けのDevOps、AIOps、セキュリティ、ワークロード自動化や高性能データベースを展開。23年11月22日にVMwareを現金約308億ドルと株式544百万株で買収。米国・欧州・アジアを中心にグローバル展開。

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企業概況
185文字)
業績概況
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テーマ
4項目)
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
5社)

事業内容

Broadcom Inc.は半導体と企業向けインフラソフトを主力とするグローバル企業です。同社はスマートフォンや通信、データセンターで使われる各種半導体やモジュールの設計・供給と、企業の基幹システムを管理・保護するソフトウエア群を提供しています。近年は大手ソフトウエア企業の買収でクラウドや仮想化、エンタープライズ向けサービスを強化しています。

収益の中心は半導体製品の販売で、ハード製品のスポット販売とソフトウェアのライセンスやサブスクリプション収入が混在しています。同社は大手ディストリビュータ経由の販売が多く、2024年度はディストリビュータ経由で約48%を占め、上位五社で売上の約40%に達するなど顧客集中のリスクがあります。ソフトウェア側は銀行、通信、公共機関などの大企業が主要顧客で、契約更新が安定収入につながっています。

事業は大きく半導体ソリューションとインフラソフトの二本柱で構成され、半導体は設計と外部ファウンドリや委託生産の組み合わせで効率化を図っています。同社のソフト製品はメインフレーム運用、セキュリティ、開発運用の自動化、データ管理などを含み、VMware買収などで仮想化とクラウド関連の提案力を高めました。販売は直販と選定した代理店網を併用し、研究開発投資と戦略的買収で製品差別化を進めています。

経営方針

同社は半導体とインフラ系ソフトウェアの「両輪」で持続的な成長と株主還元の両立を目指しています。直近の統合ベースではプロフォーマ売上高が約522億ドル(2024会計年度)に達しており、営業キャッシュフローは約199.6億ドルを確保しています。株主還元では、2024年度に配当金として約98.1億ドルを支払い、自己株式取得は約71.8億ドルを実行するなど、フリーキャッシュフローを配当に還元しつつ成長投資にも回すことを目標としています。

同社は重点投資を、競争優位が取りやすい高付加価値分野に集中する戦略で差別化を図っています。専用プロセスが必要なFBARフィルターや光通信向けレーザーなどコア半導体は自社工場で保護・加速しつつ、標準的な工程は外部ファウンドリ(例:TSMC等)に委託してコスト効率を高めています。ソフト面では2023年にVMwareを買収(現金約308億ドル、株式評価額約534億ドル)してプライベート/ハイブリッドクラウドやメインフレーム向けソリューションを強化し、機能の統合とサブスクリプション化で収益の安定化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、買収によるポートフォリオ拡充と既存チャネルの活用を組み合わせています。VMware統合ではエンドユーザー向けの不要資産(EUC事業)をKKRに約35億ドルで売却する一方、VMware Cloud Foundationのライセンス可搬性や企業向け一括ライセンスでオンプレミスからクラウドへ移行する顧客を取り込み、ソフトウェア定期収入の拡大を目指しています。半導体側でも2024年にSeagateのSoC事業を約6億ドルで取得し、ストレージ向け市場での製品群を補強していますが、販売の約48%を流通業者経由で得ている点や上位顧客への依存(上位5社で約40%)は継続リスクとして管理しています。

技術革新への取り組みは研究開発と買収の両面で進められています。研究開発投資を維持して製品の差別化を図るとともに、買収後の技術統合や既存顧客との共同開発で高付加価値製品を生み出しています。人材面ではAI関連エンジニアやサイバーセキュリティの技術者確保が経営の要と認識しており、製品の安全性・品質管理、供給網の多元化、知的財産の保護などを通じて技術優位を維持しようとしています。