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AMERICAN VANGUARD CORPAVD
事業内容
AMERICAN VANGUARD CORPは主に農業用化学品と関連製品の開発・製造・販売を行っています。同社は従来型の作物保護剤に加え、微生物などを使ったバイオ製品、種子処理剤、天然油を原料とする消費者・業務用製品など幅広い製品群を提供しています。
主要な顧客は農家や作物保護剤を扱う卸売業者・販売会社、専門の防除業者、さらにはホームガーデン向けの小売顧客です。同社の収益は主に製品販売によるもので、2024年は海外売上が約43%を占めるなど国際事業が重要な柱になっており、一部は知的財産のライセンス収入でも稼いでいます。
事業は国内と国際の報告単位で運営し、製品ラインは「化学系作物保護剤」「バイオ系(生物農薬・微生物製剤)」「種子処理剤」「天然油由来の消費者・業務用製品」などに分かれます。同社は自社工場と各国の子会社・販売網(オランダ、メキシコ、ブラジル、オーストラリアなど)を通じて生産・流通を行い、近年は供給網の効率化やERP導入などで収益性改善に取り組んでいます。
経営方針
同社は規模拡大の副次的なコストを是正し、収益性の向上を図ることを成長戦略の中核に据えています。具体的には、過去数年の買収で広がった事業を統合・最適化してEBITDAマージンを引き上げることを目指しており、そのための大規模な事業変革投資を2024年に実行しました。2024年には事業変革関連の特別費用やのれん・在庫の引当などで合計約117,355(千ドル)=約1億1,735万ドルの一時費用を計上しましたが、同社は2026年までにこれらの取り組みから実質的な効率改善と利益率回復の効果を出すことを目標としています。
同社は供給網と製造の最適化、販売体制の再構築に重点投資を行い、これを通じて差別化を図ろうとしています。具体的には外部コンサルを導入して調達コストの削減や工場稼働率の改善を設計し、調達や組織構造の見直しでコスト構造を引き下げる施策を進めています。また、作物保護剤に加えて、買収した生物農薬や天然油ベースの製品群(Agrinos、AgNovaなど)をポートフォリオに組み込み、製品の多様化と専門分野での価値提供を通じて競合製品との差別化を図っています。国際販売は2024年に約236,579(千ドル)=約2億3,658万ドルで全売上の約43.2%を占めており、グローバルな販売ネットワークを活かす戦略です。
同社は新市場開拓と事業拡大を買収と現地法人の設立で加速しています。過去数年間に中南米やブラジルの流通企業や、オーストラリア/ニュージーランドのAgNova、エクアドルのPunto Verdeなどを取得・設立し、現地での販売・流通基盤を強化してきました。同社はこれらの地域での販売チャネルを活用して市場浸透を進めるとともに、QADのERP導入で全社を単一のデジタル基盤に載せ替え、在庫や受注の可視化を図ることで新市場でのスピードと収益性を高めることを目指しています。
同社は技術革新にも注力していますが、投資の選別を明確にしています。全社ERPやデジタル化に加えて、かつて開発に注力したSIMPASのような現場向けプラットフォームは採用伸び悩みのため減損処理を行い、商業化のパートナー探索に切り替えるなど厳格に資本配分を見直しています。一方で天然油やバイオラショナル(生物由来製品)への研究開発は継続しており、製品ライフサイクルに合わせた実用化とライセンシングによる市場導入を重視しています。また、サイバーセキュリティやデータ管理にも投資を行い、デジタルプラットフォームの安全性と業務継続性を高める取り組みを進めています。