AVISTA CORPAVA

時価総額
$31億
PER
電力・天然ガスの米国大手。配電・送電、再エネ・顧客向けエネルギー管理サービスを展開。2024年に年金へ1,000万ドル拠出、自己資本は26億ドル(2024年12月31日)で運営。米国北西部のワシントン州中心に展開。

事業内容

AVISTA CORPは米国北西部を拠点に、電力と天然ガスの供給を中核とするエネルギー事業を展開する会社です。同社は発電(主に水力を含む)、送配電網の運営、家庭や企業向けの小売供給を行っています。加えて卸売市場での電力・燃料取引やエネルギー関連の投資も行っています。

主要な顧客は一般家庭、商業施設、そして大口の工業顧客で、収益の大半は規制された小売料金から得ています。同社は料金を規制当局の認可に基づく費用回収型の仕組みで請求し、必要なコスト増はレート審査を通じて回収する方針です。長期の輸送契約や卸売取引、非公益の投資活動からの収入も一部を占めます。

事業セグメントは主に配電・ガス事業(送配電と顧客サービス)、発電事業(地元の水力発電所や共有する火力資産)、および卸売・投資部門に分かれます。同社は規制公益事業の比重が高いため、法令遵守や規制対応、料金戦略に注力しています。加えて顧客向けの太陽光や省エネ、蓄電などの選択肢を支援する取り組みも進めています。

経営方針

同社は安定した収益成長と規制許容収益の確保を両立させることを成長戦略の中核に据えています。2024年の連結純利益は約1億8000万ドルと前年度から増加しており、この増益は主に一般的な料金改定(レートケース)によるものでした。設備投資も積極的で、2024年の資本支出は合計約5.33億ドル(Avista Utilities向けが約5.10億ドル)に上り、今後も送配電網や発電設備への投資で需給の安定化と規制回収を狙っています。なお、地域規制当局(オレゴン州公益委員会)向けには自己資本比率を最低35%に維持する条件が課されており、同社はこの資本構成を保ちながら成長を図っています。

同社は重点的に送配電の信頼性強化と気候変動対策に資源を投じ、競合他社と差別化を図っています。具体的には、山火事や嵐に対する防災策としての植生管理や資産点検の強化、ワイルドファイア(山火事)レジリエンシー計画の実施、緊急運用センターによる訓練・対応体制の整備を進めています。燃料コストや供給リスクに対する「エネルギー資源リスクポリシー」を策定し、卸電力市場の信用管理も実施しているほか、水力発電の許認可関連資産として約6200万ドル相当の適正化留保(appropriated retained earnings)を管理するなど、規制環境下での資産回収性を重視しています。従業員面では安全と技術力の強化によりサービス差別化を図っており、これらが耐久的な競争優位につながるとしています。

同社は新市場開拓と事業拡大に向けて、リソース整備と規制手続きの両輪で動いています。電力の需給適正化を目指す2025年の統合資源計画(IRP)を2024年12月に提出しており、極端気象事象によるピーク需要増に対応するための追加発電や供給確保を検討しています。顧客・負荷見通しでは2025〜2029年の電気顧客成長率を年平均で約1.3%、電力負荷成長を約0.6%と見込んでおり、この成長に合わせたインフラ拡張を計画しています。また、コールストリップ関連の紛争や費用回収については、レート手続きによるコスト回収を追求する方針です。グループ投資としてはAvista CapitalやAERCへの出資(合計で数億ドル規模)を通じた非規制事業の育成も行っています。

同社は技術革新を通じて運用効率と顧客サービスの向上を図っています。サイバーセキュリティや情報技術の統治は取締役会の環境・技術・運用委員会が監督し、システムの陳腐化評価と必要なアップグレードを定期的に行っています。顧客側の太陽光や蓄電などの分散型エネルギーや省エネの普及も想定し、これらを取り込むための運用改善と新サービス開発を進めています。内部統制については経営陣が有効性を評価し、外部監査法人(Deloitte)のアテステーションを受けるなど、技術基盤と統制の強化を両立させています。