Atkore Inc.ATKR

時価総額
$19.5億
PER
非住宅向け電設・インフラ製品の最大手。導管、ケーブル、金属フレームなどの製品を展開。2022年6月にHDPEメーカーを227,420ドルで買収、2022年11月にHDPE資産を90,230ドルで買収。北米中心に米国・カナダ、豪州、NZ、英国で展開。

事業内容

Atkore Inc.は、主に非住宅の建設・改修向けに電気関連部材とインフラ保護用の製品を製造・販売する企業です。同社は電線管やケーブル、取り付け用の付属部品のほか、金属フレーミングや機械用チューブ、周辺のセキュリティ製品など、現場で使うハードウェアを中心に提供しています。

同社の売上は電気・産業系の卸売業者や工事業者を通じた販売が中心で、専用の製造・流通拠点と代理店ネットワークを介して製品を供給しています。一部製品は他社の機器に組み込まれるOEM向けにも販売しており、FY2024ではOEM売上が約13%を占めています。流通拠点は北米が中心で、季節や天候による需要変動があり、冬季の第1・第2四半期がやや弱く第3・第4四半期に販売が伸びる傾向があります。

事業は大きく「Electrical」セグメントと「Safety & Infrastructure」セグメントに分かれ、前者は金属・樹脂の導管やケーブル、設置アクセサリ、後者は金属フレーム、機械チューブ、ケーブル管理や周辺セキュリティ、施工支援サービスなどを扱います。同社は多くの製品で国内上位の市場ポジションを持ち、幅広い製品群と配送力、ブランド統合による提案力で競争優位を築くことに注力しています。

経営方針

同社は収益成長と株主還元の両立を目指しています。具体的には買戻しや配当を資本政策の中核に据えており、取締役会は2021年の自社株買い枠を段階的に拡大して最終的に13億ドルまで承認し、さらに2024年には新たに5億ドルの買戻し枠を設定しました(これらは社内の現金で賄われ、2021年計画の最終買付は2024年8月に実行され、2024年計画での買付が開始されています。2024年9月30日時点で約4.28億ドルが残存)。また2023年11月に四半期配当の導入を取締役会が承認しており、安定したキャッシュ還元を目指しています。

重点投資の中心は製造能力と素材関連の拡充で、特に高密度ポリエチレン(HDPE)や電線保護用導管、金属フレーミングといったコア製品に資本を振り向けています。近年の買収ではUnited Poly(買収対価約2.27億ドル)やElite(約9,023万ドル)、Cascade/Northwest(約6,210万ドル)などを通じてHDPEや再生材料の供給能力と顧客基盤を強化しており、製品の幅と供給安定性で競合に対する差別化を図っています。

新市場開拓では、既存の北米中心の流通網を活かしつつ通信、公益、再生可能エネルギー(太陽光など)や水インフラ向けの需要を取り込む計画です。OEM向け売上は2024会計年度で約13%を占めており、機械管や架台などが太陽光や産業用途で使われることで顧客分野を拡大しています。併せて、オーストラリア、ニュージーランド、英国に拠点を持つ国際展開を踏まえ、買収や既存チャネル強化で市場シェアの拡大を狙っています。

技術革新には製品の施工性向上とデジタルツールの投入で対応しており、施工時間短縮や設計支援を目的としたデジタル設計ツールやBIM(建築情報モデル)データの整備を進めています。人材確保とモチベーション維持のための株式報酬制度も運用しており、2024年9月30日時点でオムニバス・インセンティブ計画下の発行可能残数は約169.9万株、未行使の権利は約83.0万株(いずれも千株単位の表記)となっているため、研究開発と現場投資を両輪で進める体制を整えています。