Autohome Inc.ATHM

時価総額
PER
自動車向けオンラインプラットフォームの最大手。コンテンツ・成約・自動車融資を含む媒体、リード、マーケットプレイスとAI・ビッグデータ基盤のSaaSを展開。2008年創業、2016年に戦略転換。主要株主のYun Chenが47.4%保有。中国国内中心で150超の店舗展開。

事業内容

Autohome Inc.は中国の自動車消費者向けに情報提供と取引支援を行う主要なオンラインプラットフォームで、autohome.com.cn、che168.com、ttpai.cnなどのサイトやモバイルアプリを通じて車種レビューや価格情報、比較ツールを提供しています。同社はモバイルでの利用者数が国内で上位にあり、購買の各段階でユーザーを支援するコンテンツとインタラクティブな機能を持っています。

同社の主要顧客は自動車メーカー、販売ディーラー、金融機関および新車・中古車の買い手・売り手で、広告出稿や販売促進、見込み客(リード)獲得、取引仲介などを依頼しています。収益は広告・メディアサービス、ディーラー向けのリード生成や掲載料、マーケットプレイスや取引に対する手数料、オートファイナンスの仲介手数料、そしてデータ商品やSaaS型サービスの販売で構成されています。

同社は事業を「メディアサービス」「リード生成」「オンラインマーケットプレイス/その他」のセグメントで展開しており、メディアではターゲット広告や新車発表支援、リード生成ではディーラーのオンライン出店や中古車掲載を支えています。マーケットプレイスと自動車金融は取引仲介とローン・保険の販売で手数料を得ており、加えてAIやビッグデータ、クラウドを活用したデータ商品やSaaS、価格推移トラッカーや比較ツール、拡張現実や仮想現実を使った車両体験などで付加価値を高めています。

経営方針

Autohomeはプラットフォームの「規模拡大」と「収益構造の高度化」を成長の柱としています。具体的には自社が保有する自動車購買・利用者の大規模なトラフィックを起点に、メディア広告、見込み顧客(リード)提供、オンライン市場仲介や金融サービスといった複数の収益源を伸ばすことで成長を図っています。直近ではモバイルのデイリーアクティブユーザーで業界首位を獲得しており(QuestMobile、2024年12月時点)、2024年の親会社帰属純利益は約1,619,562千人民元に達していることから、同社はプラットフォームの利用率向上とSaaS型サービス比率の拡大を目指しています。

同社は競争優位を維持するために「データと技術への重点投資」を進めています。ユーザー行動を解析する独自のインテリジェンスエンジンや、広告・販促の精度を高めるツール群を整備しており、エンジニアは2024年末時点で1,232人を擁しています。知的財産も積極的に保護しており、登録商標数673件、出願中特許378件、登録特許445件、ソフトウェア著作物1,415件といった資産を活用して差別化を図っています。これらにより自動車メーカーやディーラー向けに精密なターゲティング広告やデータ製品を提供し、単なる広告媒体から「業界向けのデータ×サービス企業」への転換を目指しています。

新市場開拓と事業拡大については、オンラインの新車・中古車取引、オートローン仲介、そしてオフライン店舗ネットワークの組み合わせでエコシステムを拡大しています。製品面では2021年以降に二輪車や車の使用中モデル、2022年には新エネルギー車ライブラリを追加してラインナップを広げました。一方で欧州展開(英国・ドイツ)は環境変化を受けて2023–2024年に撤収しており、海外展開は選択と集中で進める姿勢です。経営面では大口株主の移転(2025年における約4,018万株、発行済株式の約41.91%を対象とする売買契約、約18億米ドルの対価で合意)や過去の事業売却も行っており、同社はM&Aや戦略的投資を通じて成長機会を取り込むことを目指しています(ただし統合リスクや規制審査を踏まえ慎重に進めています)。

技術革新では「人工知能(AI)・大規模データ解析・クラウド基盤」を中核に据え、コンテンツ生成やユーザー推薦、価格推移の可視化といった機能を事業化しています。具体的にはAIでカスタマイズした記事を生成する仕組みや、購入検討者向けの対話型AIツール(CarPlan)、AR/VRを活用した仮想展示や試乗体験などをサービス化しており、これらを通じてユーザー滞在時間と成約率の向上を狙っています。開発体制や出願中の特許群に投資を続けることで、同社は技術を収益源へと結びつけることを目指しています。