ASHLAND INC.ASH

時価総額
$22億
PER
特殊添加剤・機能材料の大手。BDOや高機能添加剤、パーソナルケア原料や医薬用配合剤を展開。22年2月にPerformance Adhesives売却、24年8月にニュートラシューティカル事業売却。100カ国超で展開。

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企業概況
110文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Ashland Inc.は、特殊添加剤と機能材料を中心に、消費財や工業向けの原料と処方ソリューションの開発・製造・販売を行うグローバル企業です。同社は性能を高めるポリマーや増粘剤、乳化剤、保存料などを主力製品とし、顧客の用途に合わせた配合設計や技術サポートも行っています。

同社の顧客は医薬品メーカー、化粧品・パーソナルケアのブランド、食品・飲料業界、塗料や建設資材などの工業メーカーなど幅広く、世界各地に販売しています。収益はこれら複数の業界向け製品の販売が中心で、特定の国や単一顧客に過度に依存しない多様な売上基盤を持っています。

事業は Life Sciences、Personal Care、Specialty Additives、Intermediates の四つの報告セグメントに分かれています。Life Sciences は医薬や栄養向けの添加剤やフィルムなど、Personal Care はスキンケアや口腔・ヘアケア向けの原料、Specialty Additives は塗料や建設、電子・自動車向けの機能性添加剤、Intermediates は他部門や外部に供給する中間原料の製造を中心に展開しており、各セグメントが相互に原料供給や製品開発で補完しています。

経営方針

同社は短期的には財務の立て直しと収益性の回復を目指しています。2025会計年度のガイダンスでは売上高を19.0億〜20.5億ドル、調整後EBITDAを4.30億〜4.70億ドルと見込み、ポートフォリオ最適化による一時的な落ち込みを、株式買戻しやリストラクチャで相殺する計画を示しています。具体的には、栄養補助事業(ニュートラシューティカルズ)の売却に伴う影響を補うために1.5億ドルの自社株買いを完了しており、売却に関連する約1.07億ドルの減損を計上しています。また、インフレ感応度が高い一面を踏まえ、製造吸収改善やコスト削減策でキャッシュフローとマージンの改善を図っています。

同社は重点投資分野としてライフサイエンス、パーソナルケア、特殊添加剤(Specialty Additives)を掲げています。これらの事業での差別化は、自然由来・生分解性といったサステナビリティ属性の強化や、レオロジー改良剤やバイオファンクショナルなどの高付加価値素材の提供によって図られます。研究開発費は2024年に約5,500万ドルで前年より増加しており、製品の高機能化や顧客共同開発を通じて大手ブランドの処方ニーズに応える技術力を強化しています。同社はまた、従業員教育やリーダー育成にも投資し、グローバル文化調査で82%の回答率を得るなど人材基盤の強化に努めています。

新市場開拓や事業拡大では、収益性の低い事業の整理と成長分野への再配分を進めています。具体策として、Avoca事業の戦略的選択肢を検討し、不採算のトーリング事業からの撤退やスクラロリド事業の売却・閉鎖を進める方針です。さらに、既存設備の稼働率改善による「吸収改善」で第1四半期に約4,500万ドル、その他のコスト削減で2,000万ドルの寄与を想定しており、これらを組み合わせて売上回復と利益率改善を狙います。地域的には中国経済の低迷や競争激化を前提にしつつ、製薬やパーソナルケアなど比較的高い付加価値市場でのシェア拡大を目指しています。

技術革新については、製造最適化と製品イノベーションを両輪で推進しています。多年度の製造最適化計画により最終的に税引前で6,000万ドルのコスト削減を見込み、2025会計年度はそのうち5百万ドルの効果を想定しています。設備投資は2024年度で計1.37億ドル(ライフサイエンス約6,100万、特殊添加剤約6,100万)を行っており、プラントの近代化や自動化による効率化を進めています。研究開発投資と製造力強化を通じて、より持続可能で差別化された材料を市場投入し、顧客への技術支援で競争優位を築くことを同社は目指しています。