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ARROW ELECTRONICS, INC.ARW
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事業内容
ARROW ELECTRONICS, INC.は、半導体や受動・電気機械部品、さらに企業向けのIT機器やソリューションを世界中に流通させる大手ディストリビューターです。同社は単に部品を売るだけでなく、設計支援や試作から量産準備までの統合サービス、物流やサプライチェーン管理といった付加価値サービスも提供しています。加えて、ソフトウェアやクラウドの流通を支える専用プラットフォームも運営しています。
同社の顧客は大手の製造業(OEM)や受託製造業(EMS)、販売パートナー(VAR/MSP)など多岐にわたり、特定の単一顧客に依存していない点が特徴です。売上構成は部品を扱う「グローバルコンポーネンツ」セグメントが約7割、ITソリューションを扱う「グローバルECS」セグメントが約3割を占めており、特に半導体が収益の大きな部分を占めています。取引は基本的に都度の受注ベースで、納期や数量に応じた供給が求められます。
事業面では二つの報告セグメントを中核に展開しています。グローバルコンポーネンツは半導体を中心に受動部品やコネクタ、メモリ類など幅広い部品を扱い、需要創出や設計・生産支援、在庫管理を通じて顧客の製品化を支援します。グローバルECSはデータセンター、クラウド、セキュリティ、データ分析などのITソリューションを扱い、パートナー向けにクラウド販売管理プラットフォーム(ArrowSphere)を提供して顧客のサービス化・拡大を後押ししています。
経営方針
同社は長期的に「市場平均以上の売上成長」「取り扱い市場の拡大」「売上以上の利益成長」「株主価値の向上(投下資本利益率が資本コストを上回ること)」を目指しています。直近の2024年実績は連結売上高が279.2億ドルと前年から約15.7%減少し、営業利益は7.69億ドルに低下しましたが、こうした業績環境を踏まえ、2024年10月に発表した「Operating Expense Efficiency Plan」による多年度のコスト削減と効率化を推進しています。株主還元面でも買戻し制度を活用しており、買戻し枠は16億ドルのうち約13億ドルを使い、残り約3.24億ドルが利用可能です。
同社の差別化は、部品流通(Global Components)と企業向けコンピューティング(Global ECS)の二本柱を軸にしています。部品では半導体が約76%を占め、フィールドアプリケーションエンジニアによる需要創出や設計支援、調達・物流・倉庫を含むサプライチェーンサービスで「単なる卸売」以上の付加価値を提供しています。ECS側ではデータセンターやクラウド、セキュリティ製品に加え、自社のクラウド管理プラットフォーム「ArrowSphere」を通じて付随するソフトウェアや従量課金型サービスの導入支援を行い、販売パートナー(VARやMSP)と連携して収益性の高い関係構築を図っています。取引面では在庫の価格変動や陳腐化に備える契約条項が在庫の約56%をカバーし、供給者による買い取り手当等の保護が約60%の在庫に適用されている点もリスク管理と差別化の一環です。
新市場・事業拡大では、有機成長に加え戦略的買収を継続的に評価しており、製品ラインや付加価値サービス、地理的プレゼンスの拡大を狙っています。実際に2024年はグローバル部品売上が199.8億ドルへ減少した一方でECSは79.4億ドルへ増加しており(ECSは前年から約3.3%増)、特にEMEA地域でのインフラ、ハイブリッドクラウド、AI関連の需要拡大に注力しています。北米ではECSの中でも中堅市場とクラウド・インフラ比重を高める営業モデルへと再編を進めており、製品・市場・地域をまたいだ成長機会の獲得を目指しています。
技術革新への取り組みは同社戦略の中核です。顧客が注文やアカウント管理をデジタルで完結できるプラットフォーム整備、サプライチェーン最適化のためのデータ分析、設計・試作から量産までを支援するエンジニアリングサービスに投資しています。特にクラウド基盤やAI関連ツールの維持・強化を重視しており、同社は「デジタルプラットフォームとAIを適切に進化させること」が売上維持・拡大と顧客獲得に直結すると位置づけ、必要な投資や場合によっては買収を通じて能力を補完する方針です。