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Armour Residential REIT, Inc.ARR
事業内容
ARMOUR Residential REIT, Inc.は、主に米国政府系機関が発行・保証する住宅ローン担保証券(MBS)への投資を行う不動産投資信託(REIT)です。同社はこれらの証券を組み入れたポートフォリオを運用し、利息収入を得て株主への配当を目指しています。運用業務は外部の運用会社(ACM)が担い、同社自体に従業員はほとんどいません。
主要な顧客は同社の株主や投資家で、収益構造は保有するMBSからの利息収入と、それに対応する資金調達コストとの利ざやに依存しています。同社は証券を担保に短期の買戻しを約した売買(レポ)などで資金を調達し、これらの調達条件が利益に大きく影響します。
事業の中身は主にエージェンシーMBS(固定金利が中心)への投資ですが、必要に応じて変動金利やハイブリッドローン、政府系機関債、米国債や短期の市場商品にも投資できます。加えて、金利変動リスクを抑えるためのスワップや先物などによるヘッジや、TBA取引・トレーディングを組み合わせて流動性とリスク管理を行っています。また、清算や資金調達の一部は外部業者や関連ブローカーに依存しており、その条件や継続性が業績に影響する点に留意が必要です。
経営方針
同社は中長期的に安定した配当と資産規模の拡大を目指しています。具体的には米国政府系機関が保証する住宅ローン担保証券(Agency MBS)を主力資産とし、自己資本に対して概ね6〜10倍程度のレバレッジを運用することで収益を確保しています。報告書上の主要数値では、2024年12月31日時点の負債対資本比率は7.87:1、TBA(将来受渡し)を含めた想定レバレッジは最大で約7.95:1となっており、平均証券ポートフォリオは約11,610,751(注:報告書は千ドル単位で表示)と開示されています。
重点投資分野として同社は主に固定金利のAgency MBSに投資しつつ、社内規程の範囲でハイブリッド型や変動金利型のローン、国債や短期資金も活用できるポートフォリオ構成を取っています。差別化要因は、外部運用会社(ACM)による長年のMBS選定ノウハウと、関連会社であるBUCKLERを通じたレポ(リポ)資金調達へのアクセスにあり、これにより市場で有利な資金条件を獲得することを重視しています。また、金利変動とMBS価格変動を抑えるために金利スワップや先物などのヘッジ手法を組み合わせ、配当は短期の株価変動よりも中期的な安定を優先する方針です。
新規市場開拓や事業拡大については、資本調達手段の多様化を進めています。ATM(随時売出)や自動登録(shelf registration)を通じた株式発行や、レポ取引の拡大で追加投資余力を確保するとともに、ポートフォリオ内でTBAから実物のAgency MBSへの入替えなどでリスク管理を強化しています。ガバナンス面でも、内部統制上の脆弱性を解消するために通報ホットラインの導入や経営層の「トーン・アット・ザ・トップ」評価、2024年に実施した経営・取締役向けの定期研修や社員向けタウンホール開催などを行い、2024年末時点で重大な弱点は是正済みと結論付けています。
技術・運用面では、市場データや価格算定、リスク管理システムへの投資を進め、 clearされたスワップや取引所取引の先物など、流動性確保のための取引手法へのシフトを実施しています。これに伴い、クリアリング取引では初期証拠金の増加といった流動性ニーズが高まるため、AVMなど外部の決済・クリアリング業者との連携で運用の効率化を図る一方、将来的には一部機能の内製化も視野に入れています。こうした技術と運用の組合せで、金利変動やマージン要求への備えを強化することを同社は目指しています。