AramarkARMK

時価総額
$96.9億
PER
食品・施設運営サービスの最大手。教育・医療・企業・スポーツ向けの給食と施設管理を展開。2022年6月2日にUnion Supplyを199.6百万ドルで買収。米国が最大市場、国外15カ国展開。2024年度の収益の約3分の2が損益契約由来。

事業内容

Aramarkは世界的な食と施設サービスの提供会社で、教育、医療、企業、スポーツ・娯楽・矯正施設向けに食事、飲料、売店、ケータリング、施設維持などのサービスを展開しています。同社は現地での調理や栄養管理、院内食やイベントでの飲食提供・物販まで幅広く運営しています。

主要な顧客は学校・大学、病院、企業の社員食堂、スタジアムやコンベンションセンター、矯正施設などで、長期契約に基づいてサービスを受託しています。同社の収益は契約形態によって構成され、利益と損失を自社で負う「プロフィット&ロス」型が約3分の2を占め、運営費を回収して管理手数料を得る管理型などが残りを占めています(2024年度ベース)。

事業は米国を中心とする国内セグメントと海外の国別・地域別セグメントに分かれて報告しています。同社の提供領域は患者食・栄養、売店や自販機・軽食サービス、ケータリング、コンセッションや物販、清掃・設備保守・エネルギー管理などの施設サービス、さらに調達支援や現場改善のための資本投資を含む広範なサービスラインで構成されています。

経営方針

同社は主にフード&サポートサービス事業の成長を重視しており、有機成長と選択的な買収の組み合わせで収益拡大を目指しています。契約形態では利益と損失を同社が負う「プロフィット・アンド・ロス」型が売上の約2/3を占め、残り約1/3が管理費等を得る「クライアント・インタレスト」型であるため、同社は高い収益性を狙える大型長期契約(教育やスポーツ施設での5〜15年程度の契約)を獲得することを成長の柱としています。また、株主還元や資本効率の改善も重要視しており、2024年11月に最大5億米ドルの自社株買い枠を承認、加えて四半期配当を継続している点からも、キャッシュ創出と投資のバランスを取ることを目指しています。

重点投資分野としては、教育、医療、ビジネス・ダイニング、スポーツ・レジャー、施設管理といった既存のコア領域に加え、調達とサプライチェーンの強化を掲げています。具体策としては、全国規模のディストリビューター(SyscoやUS Foods等)との価格交渉やボリューム・ディスカウントの活用、調達サービス事業(Avendra等)による購買スケールの確保を進めています。さらに、契約上の資本投資(リース改修や設備導入)を通じて顧客施設の価値向上に貢献し、長期契約での差別化を図ることで競合他社に対する優位性を保とうとしています。

新市場や事業拡大では国際展開とM&Aを両輪にしています。現在は米国を中心に15か国で事業を展開しており、カナダ、チリ、中国、ドイツ、スペイン、英国が大きな拠点です。買収面では、例えば2022年6月に矯正施設向けのコミッサリー事業者であるUnion Supply Groupを1.996億ドルで取得し、2024会計年度は他にも約1.487億ドルの買収を実行するなど、補完的な事業や顧客基盤拡大を目的とした投資を継続しています。一方で、同社は事業ポートフォリオの整理も行っており、ユニフォーム関連事業(Vestis)の分離・再編を進めることで、コアであるフード&サポートサービスへの経営資源集中を図っています。

技術革新については、顧客体験と運用効率の改善を目的に、決済・注文・POS(販売時点情報管理)を含むデジタル基盤とサイバーセキュリティに注力しています。具体的には、資産価値とリスクに応じた多層的なサイバー管理体制を整備し、CISO主導で脅威インテリジェンスに参加しつつ、定期的なリスク評価と対策を実施しています。加えて、ミクロマーケットや独自の飲料ろ過システムなど店舗ソリューションや、外部金融機関と連携したサプライチェーンファイナンスの仕組みも運用しており(プログラム関連の未払債務は数百万ドル規模)、技術投資でサービス差別化とコスト最適化を進めることを目指しています。