AuraSource, Inc.ARAO

時価総額
$1.4万
PER
鉱物選鉱プロセス開発と自動車関連事業の新興企業。超微粉砕・超微粒分離など7件の特許技術と電気自動車販売を展開。2022年4月1日設立の関連会社を50%保有、2023年3月期にニューメキシコで鉄鉱石処理の50%合弁を設立。米国(アリゾナ・ニューメキシコ)中心に展開。

事業内容

AuraSource, Inc.は鉱石の選鉱技術と自動車向け調達を軸に事業を展開しています。主力はAuraMetalで、低品位の鉄鉱石などから有価鉱物を取り出すための粉砕や分離、湿法・焼法のプロセスを開発しています。同社はもう一つの柱としてAuraMotoを立ち上げ、自動車部品や完成車の国際調達・仲介にも取り組んでいます。

同社の想定する主要顧客は鉱山事業者や原料処理業者、そして自動車メーカーや販売業者です。収益源は技術ライセンスや処理サービスの提供、機器・製品の販売、さらに自動車の売買による収入を見込んでいますが、実績は乏しく2023年の販売収入は約12万ドルに留まり、安定した収益基盤はまだ確立していません。資金調達や提携が事業継続にとって重要です。

事業の細分では、AuraMetalが超微粉砕や超微分離など複数の特許技術を掲げパイロット試験や合弁事業(NeoMetalsなど)での実用化を目指していますが、工業規模での持続的な稼働実績はありません。AuraMotoはサプライヤー発掘と販売網の構築段階で、電気自動車の販売実績が出ている一方、こちらも成長途上で収益の安定化は今後の課題です。

経営方針

同社はAuraMetal(鉱石選別)とAuraMoto(自動車調達・販売)の二本柱で持続的な成長を目指しています。直近の実績として2023会計年度に電気自動車の売上が120,500ドル、売上原価が92,732ドルを計上しましたが、累積欠損は21,617,294ドル、現金残高は50,802ドルであり、同社自身も「現時点で約6か月分の資金は確保しているが、事業計画実現には追加資金や提携が必要」と明言しています。したがって同社は短期的に資金調達と収益の安定化を図り、長期では事業規模を拡大して黒字化へつなげることを目指しています。

同社は研究開発と特許を差別化の核と位置づけ、特に低コストかつ環境負荷の少ない鉱石の選別技術に重点投資しています。これまでに「超微粒化研削」「超微粒分離」を含む7件の特許技術を保有し、物理的な分離や薬品を使った抽出といった工程で低品位鉱石の品位向上を狙います。具体的な施策としては中国でのR&Dやパイロット試験の継続、ライセンス供与や技術サービスの提供による収益化を進め、AuraMotoでは国際的な調達ネットワークを活かして自動車部品や完成車の販売チャネルを拡大します。

同社は海外市場、特に中国を重要な開拓先と位置づけており、研究開発を中国で行い同地の買い手に技術や製品、ライセンスを販売する戦略を採っています。事業拡大の具体例としては、エルカピタン鉱山向けに設立したNeoMetals LLCの50%出資による共同事業や、ニューメキシコでの鉄鉱石処理に関する50%出資の合弁などがあり、これらを通じて実証プロジェクトから商業案件への移行を図ります。また資金面では2023年に株式発行で合計84,500ドルの調達を行っており、今後も追加の資金調達や戦略的提携を目指す方針です。

同社は技術革新を促すために研究体制と経営インセンティブを整備しています。中国でのR&Dに注力する一方、経営陣には四半期ごとに100,000株ずつのストックオプションを付与する契約を結び、役員の成果連動を図っています(CEO・CFOそれぞれ四半期100,000オプション、行使価格0.052ドル)。ただし現時点では多くがパイロット段階であり、商業化や財務報告の信頼性確保のために内部管理体制の強化や資金調達が喫緊の課題であることも明確です。これらを解決して技術を実装・拡大することで市場での差別化と収益化を実現しようとしています。