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Aptiv PLCAPTV
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事業内容
Aptiv PLCは自動車向けの電装システムと先進運転支援技術を手掛ける企業です。同社は車両の電気配線やコネクタ、ハーネス、電気センター、さらには高電圧を含む配電システムまで設計・製造し、車の電動化や安全機能、外部接続の基盤を支えています。
同社の顧客は世界中の主要自動車メーカー(OEM)で、地域を問わず幅広く取引しています。売上の約55%は上位十社が占め、個別の顧客が全体の10%を超えることはなく、受注は車両プログラム単位で行われるため価格交渉やコスト管理が収益に大きく影響します。
同社の事業は大きく二つのセグメントに分かれており、一つは信号と電力を担う事業でコネクタや配線、電源・配電システムを中心に展開しています。もう一つは安全・ユーザー体験を扱う事業で、センサーやカメラ、認識ソフトや運転支援システムへの投資を進めており、自動運転やソフトウエア関連の技術強化を進めています。電力配分に関する製品群は近年、同社の総収入の約42〜44%を占めています。
経営方針
同社はソフトウェア定義の車両や高度な安全機能、自動運転技術への需要拡大を捉えて、規律ある利益成長と投下資本に対する高いリターンを目指しています。実行力の証として、2024年は顧客から約310億ドルの新規受注(想定ボリューム・価格ベース)を獲得し、営業利益は18億ドル(調整後24億ドル)、営業利益率は9.3%(調整後12.0%)、営業キャッシュフローは24億ドルを計上しました。加えて、2024年には総額41億ドルの自社株買いを実施し、7月には最大50億ドルの再購買枠を承認するなど、株主還元と財務の安定化を両立させる方針です。同時に、事業分割については習慣的なクロージング条件の下で2026年3月31日までに完了することを目指しています。
重点投資分野は、車両の安全性向上、電動化に伴う高電圧システム、車内外の接続サービスやユーザー体験を支えるソフトウェアとコンピューティング基盤です。差別化策として同社は、研究開発への継続的な投資と世界11か所の技術拠点を通じた顧客連携で市場ニーズに合致した製品を迅速に提供することを重視しています。具体的には、エッジからクラウドまでのソフトウェア基盤強化のためWind Riverを買収し、カメラ認識や知覚技術の企業(例:StradVision、Maxieye)へ出資することでソフトウェアとセンサーを組み合わせたシステム提案力を高めています。加えて、製造は地域ごとの低コストモデルに再編し、時間給労働者の約97%を最適コスト国で雇用することで収益性改善を図っています。
新市場や事業の拡大では、アジア太平洋、特に中国を重要市場と位置づけ、現地での製造・技術投資を拡大して顧客に近い供給体制を構築する計画です。グローバルOEMが共通プラットフォームで車両を設計する流れを踏まえ、同社は地域別の生産とグローバル設計支援を組み合わせることで受注機会を拡大しようとしています。また、自動運転の合弁会社Motionalについては出資比率を50%から約15%に引き下げ、将来の追加資金負担を排しつつ知見は維持するなど、資本配分の最適化を進めています。財務面でも短期の借換リスク軽減のため約14億ドルの近接償還をリファイナンスし、現金や利用可能な与信を合わせて約36億ドルの流動性を確保しています。
技術革新への取り組みは、同社の中核戦略です。高機能化する車載システムに対しては、ソフトウェア中心の設計とサービス化(コンテナ化したソフトの導入やOTAによる更新)を進め、先端の知覚・AI技術を取り込んだ高度運転支援の商用化を狙っています。研究開発や設備投資も継続しており、2024年の設備投資は約8.3億ドル、技術投資も並行して行っています。一方で、こうした分野は開発コストが高く採用時期が不確実な点がリスクであることを認識しつつ、顧客との共同開発や外部投資を通じて実用化と収益化を加速しようとしています。