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Apple Hospitality REIT, Inc.APLE
事業内容
Apple Hospitality REIT, Inc. は米国を中心にホテルに投資する不動産投資信託(REIT)で、約221軒・約29,764室のポートフォリオを保有しています。 同社は主に客室中心のホテルを取得・保有・売却することで長期的な収益と資産価値の向上を目指しています。 日々の宿泊運営は第三者の運営会社が担っています。
主要な顧客は出張客や観光客などの宿泊者で、収益の大半は客室料金と飲食などの付帯サービスから得ています。 同社はまた物件の売却益や一部のリース収入、管理手数料などでも収入を確保し、REITの要件に従って稼得利益の多くを投資家に分配しています。
事業の中身はブランドごとのホテル保有が中心で、ほとんどがMarriottやHilton系のフランチャイズホテルに集中しています。 同社は16社の第三者運営会社と個別に契約を結び、運営会社の成果に連動する変動報酬型契約を多く採用する一方、借入や売買、株式回収などを通じてポートフォリオの最適化を図っています。
経営方針
同社は安定した配当と長期的な資本成長を両立することを目指しています。具体的には、REIT(不動産投資信託)として客室中心のホテル資産に投資・保有する戦略を採り、2024年末時点で221軒、合計29,764室を37州とワシントンD.C.で運用しています。株主還元では2024年に1株当たり年間配当1.01ドルを支払い、現在の月次配当は0.08ドル(年率0.96ドル)が基準となっており、加えて自社株買い策として総額最大3億3,540万ドルの買戻し枠を設定、2024年は約240万株を平均14.16ドルで取得して約3,470万ドルを支出するなど、資本効率の向上を図っています。
同社は客室収益の最大化を重視する投資配分を目指しています。保有物件の大半をMarriottやHiltonなどの大手ブランドで占めることによりブランド認知とロイヤルティを活用し、需要を確保しています。また運営面では16社の外部運営会社と個別に契約し、約82%の物件で売上に応じた変動管理報酬(概ね売上の2.5%〜3.5%)を採用することで運営会社のインセンティブをオーナーと一致させ、運営効率と収益性の改善を狙っています。ポートフォリオの最適化も重視しており、不要資産の売却や1031交換による税制適格の入れ替えを行い、得た資金を買収や株主還元に充てています。
同社は選択的な買収と柔軟な資金調達で事業拡大を図っています。2024年にはワシントンD.C.のAC Hotel(234室)やマディソンのEmbassy Suites(262室)など2件を合計1億9,630万ドルで取得し、売却では6軒で約6,340万ドルの総売却代金を得て純利益約1,970万ドルを計上しました。さらに2023年から交渉中のナッシュビルの開発物件(Motto、想定購入価格約9,820万ドル、契約保証金約110万ドル)は開業が遅れており完成後の取得を検討中で、買収資金は手元資金、売却代金、ATM(随時売却)や借入(650百万ドルのリボルビング・クレジットなど)を組み合わせて調達する方針です。加えて、単なる物件売買だけでなく、ニューヨークの独立系ブティックホテルでは運営会社との15年のオペレーティングリースを締結するなど、収益源の多様化も進めています。
同社は技術面では主にリスク管理と予測能力の強化に投資しており、サイバーセキュリティとデータ活用を重視しています。企業全体でのサイバー対策プログラムを整備し、IT部門は取締役会の監督下で継続的な脆弱性監視、自動パッチ適用、バックアップ・冗長化、インシデント対応計画を実行、さらにサイバー保険や外部専門家との連携で被害軽減を図っています。営業面では独自の市場予測能力や資本配分の高度化を目的にプロプライエタリ(社内)予測の構築を進め、これを経営陣の業績評価にも組み込むことで、需要変動への先回り対応と投資判断の精度向上を目指しています。