APi Group CorpAPG

時価総額
$152.9億
PER
消防・ライフセーフティ、セキュリティ、昇降機などの事業の世界的最大手。定期収益基盤を持ち、検査・保守サービスを展開。2005年以降125件超の買収実績、2024年6月3日のElevated買収を実施。米国を中心に500拠点以上、20カ国超で展開。

事業内容

APi Group Corpは、防火・生命安全、警備・監視、昇降機(エレベーターやエスカレーター)や各種の専門サービスを手掛ける事業サービス会社で、世界各地に拠点を持ちます。点検・保守・監視といった定期的なサービスを中心に、設置や改修、緊急対応などの現場サービスも行っています。

同社の顧客は公共部門と民間企業の双方で、商業施設や工場、物流センター、病院や学校、通信・公共インフラなど幅広い業種に及びます。売上は長期のマスター契約や法令・保険で義務づけられた点検・保守による継続的な契約収入が基盤で、個別プロジェクト収入がこれを補完しています。

同社は事業を複数のセグメントで展開しており、代表的には安全関連サービス(防火・生命安全、監視・警備、遠隔監視)、昇降機関連サービス(点検、保守、改修)、および特殊施工や検査・試験などの専門サービスがあります。地域ごとに運営を分散させた体制と買収による成長戦略を組み合わせ、点検を入り口に保守や追加サービスへとつなげることで、安定した反復収入と市場拡大を図っています。

経営方針

同社は有機的成長と買収の両輪で事業拡大を目指しています。具体的には、点検・保守・モニタリングといった再発生性の高いサービス売上を伸ばすことで安定したキャッシュフローを確保し、総売上に対する資本的支出は通常1.5%未満に抑えることで資本効率を高めています。顧客分散にも注力しており、2024年は単一顧客が総売上の5%を超えない低い集中度を保っていることを掲げ、景気変動への耐性を高める方針です。

同社が重点的に投資する分野は、点検・保守・監視・サービス収入の拡大と、顧客への横展開(クロスセル)です。設置済みのプロジェクト基盤を活用して年次点検からその後の保守契約へ繋げる販売手法を採用し、法令や保険で義務付けられる点検を入口として「継続的な収入」と高い粗利の獲得を狙っています。さらに購買力を生かした統一的な仕入れ体制を構築し、調達コストの削減やニッチ領域での高付加価値サービス提供を通じてマージン拡大を図っています。

事業拡大の手段としては、地域別の自律運営モデルと選択的買収戦略を併用しています。2005年以降で125件超の買収実績があり、分散・断片化した市場をターゲットに機械的ではなく戦略に合致する企業を選別して統合することで成長を加速させています。直近では2024年6月にエレベーター関連のElevatedを買収(報告開示ベースで対価約5.78億ドル)し、資金調達の一部は2024年の公募増資(約4.58億ドルの純収入)で賄うなど、買収を通じた領域拡大と国際アカウントの拡充に注力しています。

技術革新と運用効率化にも投資を進めており、グループ共通の基幹システム導入や企業買収後のシステム統合を通じて業務プロセスの標準化を図っています。人材面では「Building Great Leaders®」などの体系的なリーダー育成プログラムと現場中心の育成を組み合わせ、現場判断の迅速化と横断的なノウハウ共有を促進しています。また、可変費比率を高める労務構成や価格転嫁、コスト削減策を組み合わせることでインフレや景気後退時の現金保全手段を複数持つことを重視しています。