Angi Inc.ANGI

時価総額
$5.1億
PER
住宅修理・工事のマッチングプラットフォームの米国最大手。消費者とプロ向けの有料リード、広告、会員サブスクを展開。IACが2024年12月31日時点で議決権の98.3%を保有。米国中心にカナダ、英国、独、仏、蘭、伊で展開。

事業内容

Angi Inc.は住宅の修繕・リフォーム・清掃などのホームサービスを求める消費者と、その作業を請け負う専門業者を結ぶオンラインマーケットプレイスを運営しています。主力ブランドにAngiやHomeAdvisorがあり、ウェブサイトやモバイルアプリを通じて見積もり依頼や業者検索、事前価格サービスの依頼を扱っています。加えて、業者向けのリード販売や広告商品も主要なサービスです。

同社の主要な顧客は、サービスを探す消費者(無料で利用)と、見込み顧客や広告露出を求める専門業者です。収益は主に業者からの手数料や広告契約、会員サブスクリプション(プロ向けと一部消費者向け)で構成され、消費者とのマッチングごとに課金する「消費者接続収入」と、事前価格で同社が手配するサービスからの収入が中心です。なお、海外市場でもHomeStarsなどの現地マーケットプレイスを通じて収益を得ています。

事業は大きくAds & LeadsとServices、国際事業に分かれています。Ads & Leadsでは用語ベースの広告やリード供給、会員向けの管理ツールや業者プロフィールページを業者に販売し、Servicesでは消費者が注文するあらかじめ価格が決まった作業を同社が手配して実施します。国際事業はカナダや欧州の主要マーケットプレイス(例:HomeStars、MyBuilder、MyHammer、Travaux、Werkspot)で同様のマッチングモデルを展開しており、2025年以降は業者向けのリード提供を月間予算のフルプライス、サブスク割引リード、ダブルオプトインの個別購入という三方式に整理しています。

経営方針

同社は成長の主要指標である収益性の改善と営業キャッシュフローの拡大を目指しています。2024年の連結売上高は約11.85億ドル(1,185,112千ドル)、セグメントベースの調整後EBITDAは約1.45億ドル(145,315千ドル)を計上しており、経営陣はこの調整後EBITDAを内部の業績評価や予算作成の基準として重視しています。財務面では現金同等物が約4.16億ドル(416,434千ドル)ありながら長期債(ANGI Group シニアノート)が5.00億ドルと負債も抱えているため、同社は収益性とキャッシュ創出を両立させることを優先課題としています。

同社は主力事業であるAds(広告)とLeads(紹介)に重点投資して差別化を図っています。2024年にAds&Leadsセグメントの調整後EBITDAは約1.80億ドルで、国内売上(米国)は約10.56億ドルを占めるなど収益の中心になっています。プロ向けには従来のリード販売に加え、2025年には「月間予算内のフルプライスリード」「割引リードの定期パッケージ」「アラカルトのダブルオプトインリード」の3種類に整理する施策を打ち出すなど、価格と提供形態で差別化を図ろうとしています。消費者向けにはデジタル広告とテレビ/ラジオなどのオフライン広告を継続的に投入し、ブランド(Angi/HomeAdvisor 等)の認知と会員基盤の維持・拡大を目指しています。

同社は国際展開と事業ポートフォリオの拡大にも取り組んでいます。国際事業(HomeStars、MyBuilder、MyHammer、Travaux、Werkspot 等)は2024年に約1.29億ドルの売上を計上しており、地域別の成長余地を追求しています。また、親会社IACによるスピンオフ(Distribution)が計画されており、独立した資本政策や市場での評価を得ることにより、将来的な資金調達やM&Aなど成長投資の選択肢を広げることを目指しています。株主還元では2024年に1250万株を平均買付価格2.27ドルで取得(総額約2,840万ドル)しており、2024年承認枠(2,500万株)を活用して自己株買いを継続できる余地を残しています。

同社は技術とセキュリティへの投資を成長の基盤と位置づけています。国内外に専任のエンジニア組織を持ち、アジャイル開発で機能を頻繁に投入する体制を採用しているほか、内部使用ソフトウェアの資本化残高は約7310万ドル(2024年末)で、2025年の設備投資はソフトウェア増加により前年比15〜25%増を見込んでいます。サイバーセキュリティについてはリスク評価、技術的防御、インシデント対応、第三者管理、教育・訓練、ガバナンスといった包括的なプログラムを設け、取締役会や監査委員会が監督しています。これらの投資により、ユーザー体験の向上と信頼維持を通じて長期的な競争力確保を目指しています。