AEMETIS, INCAMTX

時価総額
$7807.1万
PER
再生可能燃料と再生天然ガス事業の新興企業。Keyesの年産6,500万ガロンのエタノール設備、乳業由来RNG、インドのバイオディーゼル事業を展開。2024年にATMで990万株を発行し3,180万ドルを調達。米国カリフォルニア、インド

事業内容

Aemetis, Inc.は2006年設立で、再生可能天然ガスや再生可能燃料の開発・製造・販売を主力とする企業です。同社は農業由来の原料や廃棄物を活用して、化石燃料の代替となる低炭素・負炭素の燃料や関連技術を事業化しています。

同社の収益は燃料や副産物の販売が中心で、低炭素エタノールやバイオディーゼル、再生可能天然ガス、発酵から出る動物飼料(WDG等)やコーンオイル、捕集した二酸化炭素の販売などで構成されています。販売は飲料用アルコールや燃料マーケター、地元の酪農場や飼育場など向けの長期的な取引やマーケティング契約を通じて行い、政府のカーボンインセンティブや補助金・各種クレジットも収益に寄与しています。

事業は主に三つの報告セグメントで運営しています。カリフォルニア・エタノール部門ではキーゼス工場(年産能力約6500万ガロン)でエタノールと飲料用アルコール、WDG・コーンオイル・濃縮酵母等の副産物を生産し、発酵時のCO2も液化して販売しています。カリフォルニア酪農向けの再生可能天然ガス事業では酪農場の消化槽を整備してパイプライン供給可能なガスを生産し、インドではバイオディーゼルの生産・販売を行う部門を運営しており、その他の小規模事業は「All Other」カテゴリで管理しています。

経営方針

同社は国際的な低・負の炭素燃料企業としての規模拡大を目指しています。具体的には、カリフォルニア州のKeyesプラント(年産能力約6,500万ガロン)の稼働改善や、インドのカキナダ製油所によるバイオディーゼル販売を柱に収益基盤を拡大する計画です。市場での評価は2024年6月30日時点の非関係者保有株式の時価で約1.258億ドルとされ、発行済株式数は2025年2月28日時点で53,319,340株です。一方で総債務は約3.41億ドルと開示され、2025年に約9,053万ドル、2026年に約1.939億ドルの返済予定があるため、同社は成長のための資金調達と債務リファイナンスを重要課題としています。

同社は重点的に設備改良とバリューチェーン統合へ投資しています。Keyesプラントではエネルギー効率化や非食用の高度飼料原料の導入で原料コスト低減と炭素強度の低下を図り、製品としてはエタノールに加えて副産物の濃縮酒糟(WDG)や蒸留コーンオイル(DCO)を地元酪農業者向けに販売しています。インドでは販売をコストプラス契約で安定化させる一方、バイオガス事業では家畜排せつ物を活用した再生可能天然ガス(RNG)とその環境価値の販売に注力し、これらの組合せで他社との差別化を図っています。

同社は新市場の開拓と事業拡大にも積極的です。カリフォルニアでのRNG事業は既存の消化槽運転に加え、新たな乳牛消化槽とパイプライン延伸の建設を進めて輸送用ガス市場への供給を拡大する計画です。インド子会社については現地経営体制を強化し、将来的な現地上場(公開)を視野に入れた成長計画を策定しています。資金面では公募売出(AT‑THE‑MARKET)で2024年に約990万株を発行し純額で約3,180万ドルを調達したほか、EB‑5プログラムで第I相は約3,550万ドル、第II相で約400万ドルを調達しており、今後も補助金・プロジェクトファイナンス・借入の組合せで資金確保を図ろうとしています。

同社は技術革新を通じた競争力強化にも取り組んでいます。具体的には発酵・蒸留プロセスや熱源の効率化、二酸化炭素の回収・販売、低炭素燃料基準(LCFS)に基づく経路認定の取得などで燃料の炭素強度を引き下げる施策を推進しています。Keyesやカキナダのプラント改修では原料柔軟性の向上や生産能力拡大を狙い、カーボンキャプチャーや環境付加価値(クレジット)を収益化することでマージン改善を目指しています。同社は技術導入と認証取得を通じて低コストで低炭素の燃料供給を実現することを目指しています。