Amphastar Pharmaceuticals, Inc.AMPH

時価総額
$12.3億
PER
注射剤・吸入剤など製剤の大手。注射用、吸入・鼻内製品とインスリンAPIを展開。MerckのAPI事業を買収、BAQSIMIやPrimatene MISTを取得、2014年6月上場、20以上の製品候補保有、2024年に約190万株の自社株買い。米国・欧州・中国で展開。

事業内容

Amphastar Pharmaceuticals, Inc. は注射剤、吸入剤、鼻腔内投与薬など技術的に難しい医薬品の開発・製造・販売を行う米国の製薬会社です。主力には救急用鼻噴霧のBAQSIMIや吸入型のPrimatene MIST、インスリンの原薬などがあり、後発医薬品と独自開発の候補品の両方を手掛けています。

同社は病院、調剤薬局や専門ディストリビューターを通じて製品を販売しており、主要な取引先はMcKesson、Cencora、Cardinal Healthなどの大手卸です。売上は既存製品の販売が中心で、将来的には自社の開発品を承認・上市して収益源を多様化する方針を取っています。

事業は大きく注射剤、吸入・鼻腔内製品、原薬(API)製造の三本柱に分かれています。自社で原薬の生産から無菌充填ラインや臨床・分析まで一貫して行う縦断的体制を持ち、技術的に参入障壁の高い後発医薬品や独自候補の開発に注力しています。

経営方針

同社は業界のリーダーを目指しています。成長戦略の核は自社で開発中の候補品を商業化して収益源を多様化することであり、現在20品目超の開発候補(ジェネリックや新薬申請、バイオ類似品、独自候補を含む)を抱えています。すでに注射剤や吸入・鼻内投与製品を含む25品目以上を製造・販売しており、主力製品にはBAQSIMI®やPrimatene MIST®などがあります。株主還元と希薄化抑制のために取締役会は総額3億8,500万ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年は約190万株を約8,550万ドルで買い戻しています(発行済株式数は2025年2月25日時点で47,650,121株)。

同社は投資の重点を「技術的にハードルの高い」分野に置き差別化を図っています。具体的には、複雑なジェネリック(製剤・製造で参入障壁が高い製品)に注力することで競争が限定され高い利幅が見込める市場を狙い、同時に独自のプロプライエタリ製品を4件程度の候補として進めており、特許や市場独占を通じて長期的な収益性向上を狙っています。差別化要因としては原薬(API)製造を含む自前の垂直統合体制を活用し、原料調達や品質管理を内製化して他社が取り組みにくい製品の開発・量産を可能にしている点が挙げられます。

新市場開拓と事業拡大は、買収と国際展開を軸に進められています。同社は過去にInternational Medication Systems、Armstrong、南京普衍(現Amphastar Nanjing、ANP)、およびフランスでのMerckのAPI事業(Amphastar France, AFP)などを買収しており、これらを通じて製造キャパシティや製品ポートフォリオ、国際的な販売網を拡充してきました。今後は社内の販売・マーケティング能力を拡大するとともに、必要に応じて戦略的提携で市場浸透を促進する計画で、流通面では2024年の売上構成でMcKessonが約25%、Cencoraが約20%、Cardinal Healthが約19%を占める大口顧客との関係維持・拡大にも注力しています。

技術革新への取り組みでは、研究開発と製造の両面で投資を続けています。社内には製剤開発やプロセス開発、臨床試験、分析化学などの専門チームがあり、複雑分子の物性・純度や免疫原性の評価など高度な解析ツールを自社で整備しているため、同等性の証明や難易度の高い製剤化を社内で完結できる点が強みです。製造面では無菌注射剤のアセプティック充填ラインや吸入/鼻内製剤の設備を保有し、GMP順守で商業供給を支えています。また、優秀な人材確保のため株式報酬制度も整備しており、改訂版2015株式報酬計画の下で7,818,314株を将来付与用に留保、2014年従業員購入計画では2,000,000株枠のうち1,289,452株を発行済で710,548株が残存するといった具体的施策を通じて技術力・組織力の維持向上を図っています。