ALNYLAM PHARMACEUTICALS, INC.ALNY

時価総額
$569億
PER
RNAi治療薬の米国最大手。siRNA基盤の5つの承認薬と幅広い開発パイプラインを展開。2019年4月の大手製薬からの出資、2018年6月の仲裁で4120万ドルの支払い、2020年のロイヤルティ取引。米国・EU・日本・アジア・中南米で展開。

事業内容

Alnylam Pharmaceuticals, Inc.はRNA干渉(RNAi)を基盤にした医薬品の研究、開発、製造、販売を一貫して行うバイオ医薬企業です。主力は、病気の原因となるタンパク質の産生を抑えるRNAi治療薬で、ファーストインクラスの承認薬を複数グローバルに展開しています。

同社の主要な顧客は病院や医療機関、保険者および患者で、収益の大半は承認済み製品の販売によって生まれています。加えて、大手製薬企業との共同開発やライセンス契約から得るマイルストーン収入や契約収入が重要な収益源になっています。

同社は事業を単一のセグメントで運営し、研究開発から品質管理、製造、商業化までを社内で管理しています。販売は地域と治療領域別に組織化し、現行製品の拡大とパイプライン候補の臨床開発を同時に進めて長期的な成長を目指しています。

経営方針

同社は「Alnylam P5x25」と呼ぶ中期戦略で、2025年末までにトップティアのバイオテクノロジー企業となることを目指しています。成長の基盤として、2024年末時点で5つの販売中製品(オンパトロ、アムヴットラ、ギヴラアリ、オクスルモなど)を持ち、現金・現金同等物および流動有価証券は約27億ドルを確保しており、同社はこれが提出時点から少なくとも12か月の近時の資金需要を満たすと見ています。一方で、創業以来の累積赤字は約72.9億ドルと大きく、短期的な資金や市場の変動が事業計画に影響を与え得ることも明示しています。

同社は研究開発と製造能力への重点投資を続けることで差別化を図っています。中核となるのはRNA干渉(RNAi)という仕組みで、病気に関与するタンパク質の設計図となるメッセンジャーRNAの働きを抑えることで治療効果を出す点が特徴です。これにより「ファーストインクラス」の承認薬を複数実現しており、今後は適応拡大や新規適応の臨床開発に資源を割く方針です。設備投資も拡大しており、資本的支出は2024年に約3,430万ドル、2023年は約6,220万ドルで、2025年には製造・生産能力を支えるため支出が増加すると見込んでいます。

新市場開拓や事業拡大では、同社は米国・欧州に加え、日本やラテンアメリカなどでの承認申請と発売拡大を進めています。グローバルな商業基盤を強化するために社内の営業・規制・品質・生産体制を整備し、外部との共同開発やライセンス、委託製造も活用してスピードを上げる計画です。資金面では長期債務や将来の支払い義務も抱えており、長期債務残高は約10.2億ドル、またブラックストーン関連の支払見込み(直近12か月で約1.318億ドルなど)があるため、これらを踏まえた資本計画を並行して実行しています。

技術革新への取り組みとして、同社はRNAiプラットフォームの拡張を最重要課題に据えています。臨床開発パイプラインは複数の疾患領域にわたり、新しい組織や標的への適用拡大を目指しており、その結果を定期的に発表することで将来の商用ポテンシャルを高めようとしています。知的財産の維持・強化にも注力しており、必要に応じて訴訟を含む法的手段で権利保護を図る一方、品質管理やサプライチェーン、コンプライアンス体制の整備によって実用化とスケールアップを両立させようとしています。