Allegion plcALLE

時価総額
$139.8億
PER
セキュリティ製品・アクセス制御の世界最大手。ドアコントロール、電子錠、アクセス管理ソフトウェアのソリューションを展開。2024年に2月1日、3月4日等に複数社を合計約1.475億ドルで買収。北米・欧州・アジア・オセアニアで展開。

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企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
ブランド
1項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Allegion plcは建物や住宅の出入口向けに、錠前やドア制御機器、電子的な入退室管理システムなどのセキュリティ製品と関連サービスを設計・製造・販売しています。同社はハードウェアに加え、ソフトウェアや設置・保守サービスを組み合わせて、使いやすく安全な入退室体験を提供しています。

顧客は公共施設や商業施設、オフィス、個人住宅など多岐にわたり、施工業者やセキュリティ専門業者、大手小売・流通チャネルを通じて販売しています。同社の収益は製品販売が中心ですが、ソフトや保守契約などの繰り返し収入も増えており、地域ごとの需要変動が業績に影響します。

同社は地域別にAllegion AmericasとAllegion Internationalの二つの事業セグメントで業績を管理しており、各地域に合わせた製品ラインを展開しています。製品群はドア用の機械部品や非常用出口機器、ドア・ガラスのシステム、電子式のアクセス管理、鍵やキーシステム、さらにソフトとサービスまで幅広くカバーしています。近年はクラウドやモバイル連携など接続性の高い製品に注力し、システム統合で付加価値を高めています。

経営方針

同社は持続的な成長を目指しています。2024年の売上高は約37.7億ドルで、同年6月30日時点の非関係者保有時価総額は約103億ドルと大きな事業基盤を有しています。成長資金の源泉は主に営業活動によるキャッシュフローで、2024年の営業CFは約6.75億ドルでした。株主還元の面では、2024年に四半期ごとに各0.48ドルの配当を実施し、2025年2月には1株当たり0.51ドルの配当を宣言しており、また上限5億ドルの自社株買い枠を設定している点も明確な資本配分方針です。

同社は重点投資分野として、製品群の拡充と“ハード+ソフト+サービス”の統合に注力しています。具体的には電気機械式のアクセス制御やソフトウェア型サービスの強化、グローバルな製造・供給網の効率化(エンタープライズ・エクセレンス)に投資しており、2024年の投資活動による支出は約2.28億ドルでした。差別化戦略は幅広い製品ポートフォリオを客ごとに最適化して提案する「設計提案型の営業」と、流通チャネルや現場での導入支援を含むサービス体制にあり、これによって競合他社に対してカスタム適合性と迅速な供給で優位性を確保しています。

新市場開拓や事業拡大は買収と地域展開を両輪に行っています。2024年は英国やスペイン、米国、カナダの専門事業者を買収しており、当該年の買収対価の合計は約1.475億ドルでした(買収先例:Boss Door Controls、Dorcas、Krieger、Unicel、SOSS)。同社はこれらの買収を通じて電気機械式アクセス、特殊ドア・ガラス、プレミアムヒンジといった隣接分野への拡大と地域別の販売力強化を目指しています。一方で買収統合の難しさやサイバー/規制リスク、資金調達の必要性といった実行リスクも開示しており、財務面では短期的な資金繰りに問題がないとしつつも、レバレッジ管理や借入契約の遵守を重視しています(借入の一例:2024年末の借入金利はSOFR+1.225%で実効約5.582%)。

技術革新への取り組みでは、製品の「コネクテッド化」とサービス化を推進しています。同社はモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)を活用した利便性向上や運用効率化を目指し、ソフトウェア・サブスクリプションや保守・設置といったサービス提供を拡大しています。また、将来の技術獲得のためにスタートアップ投資や外部投資も行い、投資判断は収益性や技術的相乗効果を基準に構造化されたプロセスで実行しています。併せてサイバーセキュリティ体制の強化を図っており、CISOによるリスク監視、インシデント対応計画、内部統制の整備といった具体的施策を整え、2024年12月31日時点で内部統制は有効と評価されています。