Alexander & Baldwin, Inc.ALEX

時価総額
$11.2億
PER
商業用不動産の有力企業。商業施設の賃貸、開発、資産運用を展開。2024年に総額2,982.6万ドルで物件を取得、同年の改良ポートフォリオ賃貸占有率94.6%を維持。ハワイ中心に展開、社員93.9%が現地勤務、平均在籍年数8.5年。

事業内容

Alexander & Baldwin, Inc.はハワイを中心に商業用不動産の取得・保有・管理・開発を行う企業です。同社はショッピングセンターや小売店舗、オフィスなどを賃貸して賃料収入を得るほか、物件の改修や新規開発で資産価値を高める取り組みを行っています。

主要な顧客は全国規模の小売業者、地域チェーン、地元の事業者で、賃料収入が収益の中心となっています。加えて、開発や再開発による賃料増加や土地売却、関連会社や共同事業からの持分利益などが補完的な収入源になっており、2024年末の改善ポートフォリオ稼働率は94.6%と高水準です。

同社は事業を大きく商業用不動産部門と土地事業部門に分けており、商業用部門ではショッピングセンターや小売サイトの賃貸・管理・リーシングや再開発を内製で手掛けています。土地事業部門では売却用の開発や将来の賃貸用地の整備、関連会社を通じた共同事業(素材関連や再生可能エネルギーなど)への投資を行い、地元に深く根ざした知見を生かして買収と内部成長の両面で収益拡大を図っています。

経営方針

同社はハワイに特化した商業用不動産(CRE)を成長の軸に据え、長期的な株主価値と安定した収益創出を目指しています。具体的には、賃貸収入の拡大と物件ポートフォリオの質向上による内部成長に注力するとともに、買収による外部成長も追求しており、2025年の資本支出見込みは約6,000万〜7,000万ドルとしています。配当面ではREIT規定に従い課税所得の少なくとも90%を株主に還元する方針を継続しており、自己株式買い戻しについては最大1億ドルを上限に取締役会が承認しています(ただし四半期末の報告では直近の買戻しは行われていません)。

同社の重点投資分野は、食料品店舗を核とした地域密着型ショッピングセンターや工業・流通系の改善済み物件、都市型グラウンドリースなどであり、これらに対する差別化は地元に根差した市場知見と社内で完結するリーシング・資産管理能力にあります。実際に改善済みポートフォリオの賃貸稼働率は94.6%と高水準を保っており、社内の開発・再開発能力を通じて賃料改定や空室削減で収益性を高める戦略をとっています。さらに、残存する旧来保有地は整理・売却(簡素化戦略)により資本を再配分しており、たとえばマウイ・ビジネス・パーク第II期は残売地約28.7エーカー、総事業費約9,100万ドルで進行中、うち12.5エーカーは契約済みです。

新たな市場開拓や事業拡大については、基本的にハワイ市場への集中を維持しつつ、戦略的に収益性の高い買収機会を取りに行く方針です。同社は適正なレバレッジ維持と満期の分散、固定金利の比率確保を重視することで外部成長に備え、運転資金や投資は営業CF、手元現金、及び回転信用枠を組み合わせて賄う計画です。短期と長期の金利支払予定はそれぞれ約2,250万ドルと6,850万ドルが見込まれており、短期の開発・改修コミットメントだけでも次期12か月で約4,150万ドル(主要にテナント改善費の約1,970万ドルと開発プロジェクトの約1,020万ドル)を見込んでいます。

技術革新への取り組みでは、同社はサステナビリティを事業運営と投資判断に組み込み、再生可能エネルギーなどの関連投資を持分投資や合弁を通じて行っています。また、不動産取得や価値評価の過程では将来キャッシュフローに基づく割引評価や類似取引分析を活用し、社内のデータと現地知見を組み合わせた意思決定を行っています。加えて物件管理や入居者対応の効率化、従業員向けのデジタルプラットフォーム導入などで運用コストの最適化と顧客体験の向上を図っており、これらを通じて資産の長期価値を高めることを目指しています。