ALLETE INCALE

時価総額
$39.1億
PER
電力・再生可能エネルギー事業の大手。風力発電や送配電・規制電力販売を展開。2024年5月の合併契約、1株67ドル・総額約39億ドルで買収、2024年12月にFERC承認取得。米国ミネソタ・ウィスコンシン中心に展開。

事業内容

ALLETE INCは米国ミネソタ州に本拠を置く総合エネルギー会社です。同社は地域向けの発電・送配電事業を中核に、都市ガスや水の供給も行い、風力や太陽光など再生可能エネルギーの開発・運営にも力を入れています。

同社の主要顧客は家庭、商業、自治体に加えて製鉄や鉱山、製紙といった大口産業顧客で、これらへの安定供給が収益の基盤です。収益構造は規制事業による電力販売と配電収入が中心で、クリーンエネルギー事業は長期の電力販売契約やプロジェクト販売で非規制の収入を補完しています。

事業は大きく規制事業、クリーンエネルギー事業、コーポレート・その他の三本柱で構成されています。規制事業は地域の送配電網と発電設備の運用で安定した収益を生み、クリーンエネルギー事業は風力・太陽光の開発と長期契約による販売を行い、コーポレート部門は送電プロジェクトや投資・資金管理などを担っています。

経営方針

ALLETEは「EnergyForward」と呼ぶ成長戦略で、規制事業の安定収益を基盤に再生可能エネルギー事業を拡大することで全体の成長を目指しています。具体的には、長期の電力販売契約(長期PSA)を伴うプロジェクト開発や買収で顧客基盤と地理的範囲を広げることを掲げており、合併契約に基づく買収提案では1株当たり67ドル、総額およそ39億ドル規模の企業価値が見込まれています。株主還元面では四半期配当0.73ドルを維持しており、発行済株式数は約5,790万株(2025年2月1日時点)といった資本政策も並行して管理しています。

重点投資分野は送配電網の近代化とクリーンエネルギーの開発で、同社は送電・配電設備への投資に加え、風力などの発電資産を増強することで差別化を図っています。連結貸借対照表上では規制事業が約43億ドル、クリーンエネルギー部門が約18.7億ドル(いずれも過去報告の区分)と資産規模の両輪で収益を支える構造です。財務面では約3.62億ドルの銀行枠を保有し、スタンバイ信用状などで約1.18億ドルの保障を確保しているため、大型プロジェクトへの資金供給余地を持ちながらリスク管理を行っています。

新市場や事業拡大については、買収とプロジェクト開発を通じて新たな地理や顧客を取り込む方針です。過去の事例では2022年の事業買収などで外部成長を図っており、今後も長期PSAを前提にした案件に注力します。さらに送電網の大規模化を見据え、米エネルギー省が支援する「North Plains Connector」や高電圧直流(いわゆる長距離送電)などの案件に関与しており、規制当局の承認(たとえば米国連邦エネルギー規制委員会=FERCの承認は既に得られている案件もある)を前提に事業を展開します。なお、合併に関する手続きや規制審査の進行状況は投資計画に影響を与えるため、同社は規制対応と資金調達の柔軟性(2025年下半期に最大3億ドルまでの増資の可能性の通知権など)を織り込んでいます。

技術革新への取り組みは、発電側では風力や太陽光に加え蓄電などの導入で発電の安定化を図り、送電側では長距離送電技術や系統連系強化を進めることにあります。加えて、サイバーセキュリティやデジタル化による運用効率の向上、現場人材の育成や安全管理の高度化にも資源を割いており、安全指標や人材育成プログラム、技能者向けの見習いや奨学金といった具体施策を通じて技術運用力を高めています。これらにより、同社は規制事業の安定性とクリーンエネルギー投資の成長性を両立させることを目指しています。