- 米国企業
- ALICO, INC.
ALICO, INC.ALCO
事業内容
ALICO, INC.は主にフロリダで柑橘類の栽培・出荷を行う農業会社で、加工用のオレンジや生鮮果実の生産を中心に、樹園(グローブ)管理や土地の運用も手掛けています。収穫や運搬の一部は独立した業者に委託しながら、果実の生産から販売までを一貫して行っています。
同社の主要顧客は食品加工大手で、特にトロピカーナ向けの供給契約が売上の大部分を占めています。2024年度にはトロピカーナ向けが約86.8%、2023年度も約81.3%を占め、加工用オレンジの販売が収益の柱になっているため、顧客依存や季節変動が業績に影響します。なお、主要な供給契約の多くは2025年および2027年に満了予定です。
事業は主に「Alico Citrus」と「Land Management and Other Operations」の二つのセグメントに分かれており、複数の品種(早期・中期種やバレンシアなど)を栽培しています。製品ラインは加工用果汁向けのオレンジや生鮮果実、グローブ管理サービス、土地賃貸やその他の土地活用が中心で、従業員住宅の提供や安全・多様性の推進といった人材面の取り組みも事業継続の重要な要素として運営しています。
経営方針
同社は長期的な株主価値の向上を目指しています。成長の軸は伝統的な柑橘(Alico Citrus)事業の収益性回復と、保有土地の価値最大化による不動産収入の拡大にあります。直近では、トロピカーナ向けの販売が売上の大部分を占めており、2024年度は売上の約86.8%がトロピカーナ関連であるため、同社は加工向け供給の安定化と、ハリケーン等の自然災害からの生産回復による生産量増加を重視しています。一方で配当は取締役会の裁量に基づくため、将来の配当水準は事業展開や資本支出の必要性に応じて変動するリスクがあります。
同社は重点投資分野として、柑橘園の生産性向上と土地管理・賃貸事業を掲げています。具体策として、現場の安全・品質教育に継続的に投資し、従業員数199名(うち柑橘部門175名)や従業員向け住宅38戸といった人的基盤を活かして安定した生産体制を維持しています。差別化では自社保有地を核にしたグローブ管理サービスや長期供給契約を重視し、経営インセンティブとして2015年株式報酬プラン(上限125万株、残余は約110万株台)を運用して経営陣・現場人材の確保を図っています。
新市場開拓や事業拡大の計画として、同社は保有地の戦略的活用と資産売買を積極的に検討しています。最近は不動産分野の専門人材を強化しており(2024年5月に不動産担当上級副社長を登用)、土地の取得・許認可・分譲・賃貸による長期的価値向上を追求する方針です。また、トロピカーナ向け契約の一部は2025年と2027年に満期を迎えるため、同社は取引条件の維持・多角化によって顧客集中リスクを低減し、必要であれば買い手の分散や新規販路の開拓を目指しています。
技術革新への取り組みでは、サイバーセキュリティと内部統制の強化を優先しています。サイバー面ではNIST CSF 2.0を指針としたリスク管理プログラムを導入し、専任チームによるリスク評価や脆弱性診断、外部ベンダー活用、従業員向け訓練、インシデント対応計画を整備しており、取締役会の監督下で運用しています。財務管理面では、2024年9月30日決算で棚卸資産の実現可能価値計算に関するスプレッドシート制御の不備が「重大な弱点」として特定されており、同社は追加の内部統制導入や手続き改善に資源を投じて是正を進めています。