ALBEMARLE CORPALB

時価総額
$137億
PER
リチウム・特殊化学品の最大手。電池材料やブロマ・付加価値リチウム製品を展開。2024年3月に優先株発行で約22億ドルを調達、2023年10月にMARBL再編でケマートンの40%を取得。米国・チリ・豪州・中国などグローバル展開。

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企業概況
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事業内容

ALBEMARLE CORPはリチウムや臭素を中心とした特殊化学品メーカーで、電池材料や難燃剤、医薬品の前駆体など、移動・エネルギー・電子機器・健康分野向けの重要な素材を製造しています。同社は採掘から精製、付加価値化学品の開発まで一貫して手掛け、安定供給と研究開発で顧客の要望に応えています。

同社の収益は主に電池向けのリチウム関連製品と、臭素系やリチウムの高付加価値製品という二本柱で成り立ちます。主要顧客は自動車メーカー(電気自動車向けを含む)、電池メーカー、電力・インフラ事業者、電子機器や製薬企業で、リチウムは市況変動の影響を受けやすい一方、付加価値品は長期契約や技術サービスで比較的安定した収益を生みます。

事業は大きくエネルギー貯蔵向けとスペシャリティ向けの二つに分け、前者はリチウムの採掘・精製・電池材料供給、後者は臭素化学や難燃剤、医薬品原料などの高付加価値製品を扱います。世界各地の塩湖や豪州の鉱山、米国拠点に加え、合弁事業を活用して原料調達から製品化まで一貫したサプライチェーンを構築しています。

経営方針

同社は電気自動車(EV)向け電池とエネルギー蓄電市場を中心に、持続的な成長と財務の柔軟性を両立することを目指しています。2024年の売上高は約54億ドル、エネルギー蓄電の出荷量は前年から19%増と、需要回復を反映する実績を示しています。一方で現金創出力の確保を重視し、2024年の営業キャッシュフローは約7.02億ドルを確保、資金調達面では2024年3月に優先株に連動する預託株式で純額約22億ドルを調達し、流動性を強化しました。さらに借入契約の条項を一時的に修正して(2026年6月まで)レバレッジや利子カバレッジの計算方法を見直すなど、市場価格変動に対する財務ガバナンスを調整しています。

同社は投資の重点をリチウムを中心とした「エネルギー蓄電」と、臭素系や特殊リチウム化合物を扱う「スペシャリティーズ」、および精製触媒などを担うKetjenに置いており、差別化は安定供給と製法化学(プロセスケミストリー)、顧客連携による製品付加価値で図っています。原料確保のためにグリーンブッシュやウォジグナを含む合弁(例:Windfield49%保有、Wodgina 50%)を通じた鉱石供給や、チリ塩湖での蒸発操業といった多様な供給源を持つことが強みです。研究開発費は2024年に約8672万ドルを投じ、製品品質や工程改善、環境負荷低減を通じたマージン向上を狙っています。

国内外での事業拡大として、同社は米国の硬岩型リチウム鉱山であるKings Mountainの再開発計画を進め、州・連邦の許認可申請を提出しています。計画が承認され最終投資判断が下れば、年間約42万トンのリチウム含有スポジュメン濃縮物を生産する見込みとし、地域の副産物を建材用途に転用するためMartin Mariettaとの協業も発表しています。並行して、顧客基盤の強化ではBMWと大口の長期供給契約を締結(2025年発効)し、自動車メーカーとの技術協業で安定的な需要取り込みを目指しています。ただし資本効率を優先し、Kemertonの設備については3号・4号機の建設中止や2号機の保守停止などで投資を絞り、2024年には構造改革費用や資産償却として約11.3億ドルの計上がありました。

同社は技術革新を通じた差別化を重視しており、電池用リチウム製品の品質向上やより安全で高エネルギー密度のセル技術に向けた顧客との共同研究を進めています。グリーンケミストリーの導入で原料やエネルギー使用の削減を図るほか、製造工程の効率化によってコスト構造を改善する方針です。また事業継続性と情報セキュリティにも投資しており、ゼロトラストの原則や24時間体制の監視を導入して操業リスクの低減に努めています。これらの取り組みにより、同社は供給の信頼性と製品差別化で中長期的な競争優位の確保を目指しています。