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Akebia Therapeutics, Inc.AKBA
事業内容
Akebia Therapeutics, Inc.は、慢性腎臓病に伴う貧血や血中リンの管理を中心に、医薬品の開発と販売を行うバイオ医薬企業です。同社は経口薬のAuryxiaと日本で販売されるVafseoを主力製品として事業を展開しています。
主要な顧客は透析事業者や医薬品卸、病院・診療所、そして保険支払者で、売上の大部分を製品販売から得ています。加えて、海外提携先とのライセンス収入やマイルストーン、ロイヤルティも収益源となっており、卸の在庫動向や保険償還の制度変更で売上が変動しやすい特徴があります。
事業構成は商用医薬品の販売、研究開発、そしてライセンス・提携による国際展開の三本柱で成り立っています。具体的にはAuryxiaの市場展開やVafseoの日本での供給に注力しながら、プラリシグアットなどの開発候補の進展や患者支援プログラム、製造・供給体制の強化にも取り組んでいます。
経営方針
同社は売上拡大と収益性の回復を成長の最優先課題と位置づけています。具体的には、腎疾患領域で承認済みの2製品(AuryxiaとVafseo)を基盤に年次売上を伸ばす一方で、2024年の純損失6,940万ドルを踏まえコスト管理を強化し、財務基盤の安定化を図ることを目指しています。資金面では最大2.5億ドルの新規発行枠(Form S‑3)や時価発行枠(ATM)で最大7,500万ドル、さらに最長で5,500万ドルのシニアタームローン枠を活用して成長投資と運転資金を確保する方針です。
重点投資分野は腎疾患治療の商業化能力とサプライチェーンの強化です。同社はAuryxiaとVafseoの販売・供給体制に注力しており、海外ではMTPC(日本)やMedice(欧州)などとの提携を通じて市場導入を加速しています。差別化策としては、HIF(低酸素応答を制御する科学領域)など同社の専門技術を活かした製品ポートフォリオと、患者支援プログラムによるアクセス向上(2024年には約740万ドル相当の無償供給実績)を組み合わせ、医療者・患者双方の受容性を高める取り組みを進めています。
新市場開拓と事業拡大に関しては提携先を通じた地域拡大と戦略的なライセンス/買収の検討が中心です。既に日本でのRiona商業化や欧州での供給契約など地域別パートナーと連携しており、今後もダイレクト販売と提携販売を組み合わせて市場を広げる計画です。また、Cyclerionとの契約に基づく経口候補プログラム(praliciguat)では、臨床試験開始前に自社での製造管理を強化する改定を行い、開発候補の加速とリスク低減を図っています。一方でAuryxiaの独占期間終了(LoE、2025年3月20日)を踏まえ、透析事業者との契約維持やジェネリック競合への対応を通じて市場シェアの維持に注力します。
技術革新への取り組みとしては研究開発と製造技術の両面に投資を続けています。同社はHIF科学を含む基礎研究力を活かしつつ、製剤・製造プロセスの移管や品質管理体制の強化を進めており、2024年末にはpraliciguatの製造体制見直しを実施しました。また、情報システム(ERP)や内部統制の改善にも取り組んでおり、在庫会計に関する開示された課題を是正するためのプロセス整備を進めることで、財務報告の正確性と運用効率の向上を目指しています。従業員数は181名(2024年末)で、人材育成と維持を通じた技術力の継続的向上を重視しています。