Arthur J. Gallagher & Co.AJG

時価総額
$644.6億
PER
保険仲介・リスク管理サービスの大手。保険仲介、再保険仲介、第三者請求管理とリスクコンサルを展開。2024年12月7日に総額134.5億ドルで買収合意、2024年12月11日に85億ドルの株式公募で資金調達。米国・英国・欧州・豪州を中心に展開。

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企業概況
108文字)
業績概況
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5社)
同業種の日本企業

事業内容

Arthur J. Gallagher & Co.は世界的な保険仲介・リスク管理グループで、企業や個人の保険契約の仲介、リスク評価と軽減、保険に関するコンサルティングを主力サービスとしています。同社は保険の手配や再保険の交渉、従業員福利厚生の設計などを通じてクライアントの損害やコストを管理しています。

顧客は商業企業、非営利組織、自治体から個人まで幅広く、特に企業向けの大口契約や従業員福利厚生が収益の柱です。同社の収益は主に保険料に連動する手数料(コミッション)と、コンサルや第三者による請求管理などのサービスフィーで構成されています。加えて投資収益や業績連動の報酬、買収による売上拡大が収益に影響します。

事業は大きく仲介とリスクマネジメントのセグメントに分かれ、仲介では損害保険・生命保険・健康保険や再保険の引受先との交渉、データ分析を用いたリスク移転の設計を行っています。同社のリスクマネジメント部門は第三者請求処理、損失抑制、リスクコンサルティングや自家保険(キャプティブ)支援を手掛け、契約ごとの手数料や業績報酬で収益を得ています。グローバルな販売網と積極的な買収戦略で地域やサービス領域を広げ、顧客ごとにカスタマイズした包括的なリスクソリューションを提供しています。

経営方針

同社は買収と有機成長の組合せで持続的な収益拡大を目指しています。市場価値は2024年6月30日時点で約493億ドル($49,339.2 million)と大きく、発行済株式数は2025年1月31日時点で約2億5470万株です。成長の手段としては、2024年に約17億ドル($1.6998 billion)を投じた複数の買収を完了させたほか、2024年12月7日に発表したAssuredPartnersの買収(総額約134.5億ドル/$13.45 billion、2025年第1四半期の完了見込み)など大型案件も進めています。資金調達面では、同買収の一部を賄うために12月11日の増資で約85億ドル(30.4百万株、総額約$8.5 billion)を調達し、残額は12月19日のシニアノート発行で約50億ドルの借入を予定しています。なお、2024年の現金配当は合計約5.299億ドル(1株当たり$2.40)で、2025年第一四半期の四半期配当は1株当たり$0.65と発表しています。

同社は投資の重点を保険仲介(商業・専門・福利厚生・個人)とリスク管理サービスに置いており、リスク管理事業は2024年の売上の約14%を占めています。差別化策としては、幅広い商品ラインナップと地域網、各分野に強いブローカーやコンサルタントによる「きめ細かい対応」およびデータ分析能力の向上を挙げており、顧客ごとに最適化した保険設計や損失軽減の提案で競合との差異化を図っています。買収に際してはエスクローや業績連動型のアーンアウトを活用し、売り手とのインセンティブを整合させることで買収後の定着と収益化を目指す具体策をとっています。

新市場開拓と事業拡大では、米国に加えて英国・アイルランドやオーストラリアといった既存の海外拠点強化に注力しています。直近ではMy Plan Manager(豪国の公的制度向けプラン管理)、Cadence(米南東部中心の保険事業)、Eastern Insuranceなど地域特化型の買収によりサービス領域を広げており、AssuredPartnersの取得により米国内の商業不動産・専門分野・福利厚生領域で大幅なシェア拡大を狙っています。資金面では、上場による増資や「at‑the‑market」プログラム(最大300万株)や既存のシェルフ登録を活用し、買収資金の柔軟な確保を計画しています。一方で統合コストや文化・システムの融合リスクを明確に認識しており、統合プロセス管理に注力する方針です。

技術革新への取り組みとしては、ITやソフトウェア開発への投資を継続し、データ分析やデジタル化をサービス差別化のコアに据えています。サイバーセキュリティ面では、NISTのフレームワークやISO27001準拠の体制を整え、セキュリティ運用センター(SOC)や外部の運用支援(MSSP)、グローバルなインシデント対応チーム(CSIRT)を運用して脅威検知・対応力を高めています。また、気候変動対策では運用上のScope1/Scope2で2050年ネットゼロを目指し、2030年までに従業員当たりで50%削減する中間目標を掲げるなど、サステナビリティ関連の助言商品や気候対応サービスの拡充も進めています。