- 米国企業
- APPLIED INDUSTRIAL TECHNOLOGIES INC
APPLIED INDUSTRIAL TECHNOLOGIES INCAIT
事業内容
APPLIED INDUSTRIAL TECHNOLOGIES INCは産業向けの部品流通と技術ソリューションを提供し、現地在庫や修理・緊急対応を軸にしたサービスで顧客の稼働継続を支援しています。同社は軸受や駆動部品、流体パワー・流量制御製品、工場向け自動化機器などを取り扱い、サービスセンターや配送拠点を通じて迅速に供給と技術支援を行っています。
主要顧客は食品加工、化学、金属・機械、輸送、電力など幅広い製造業と政府系機関で、大企業の複数拠点から地域の中小企業まで含みます。同社は製品販売に加えて現地での保守・修理、在庫管理や設計支援といった付帯サービスで収益を上げており、売上の大部分を米国市場が占めています。
事業は大きく現場対応を中心とするサービスセンターと、設計・エンジニアリングで顧客設備の改善や自動化を行う技術設計・統合事業に分かれます。サービスセンターは部品供給と修理で顧客の即時ニーズに応え、技術設計・統合事業は流体制御や自動化の導入・保守など高付加価値案件でより高い利益率を確保しており、買収を通じてこうした領域を拡大しています。
経営方針
同社は成長を「有機成長+買収」のハイブリッドで実現することを目指しています。2025年度の連結売上高は約45.6億ドル(前年度比+1.9%)で、買収が約1.93億ドル(売上の約4.3%)を押し上げました。経営は約800億円規模(約800億円=約80億ドル)のアドレス可能市場を想定しており、特に高付加価値のEngineered Solutionsの拡大を通じて長期的な市場シェア拡大とマージン改善を狙っています。四半期ごとの配当や自社株買いもキャッシュ配分の重要な要素で、2025年度は1株当たり配当が1.66ドル、同年は約65万5千株を平均231.20ドルで取得しています。
同社は重点投資分野として、従来のベアリングや動力伝達部品に加え、流体動力・流量制御、ファクトリーオートメーションを挙げています。差別化は「技術サービスと在庫の近接性」にあります。北米を中心に約600の拠点(サービスセンター約430、エンジニアードソリューション約170)と約6,800名の従業員を基盤に、現場での即応性、修理・組立サービス、在庫管理を組み合わせて競合と差別化しています。また、Engineered Solutionsは連結EBITDAの40%超を占める高収益セグメントとなっており、ミックス改善がマージン拡大の主要ドライバーです。
新規市場の開拓は既存顧客へのクロスセルと業種別深掘りが軸です。食品・飲料、半導体、データセンター、ライフサイエンス、製薬、発電・代替エネルギーなど成長性の高い縦割り市場への浸透を進めており、その手段として買収を継続的に活用します。近年の買収例にはメキシコの自動化系企業(Kopar、買収対価約6,187万ドル)や各種自動化・流体関連企業の取得があり、経営は短中期ではEngineered Solutionsの拡大、並行してService Centerでの機能強化を優先しています。
技術革新には情報システム投資と現場技術の両面で取り組んでいます。共通の基幹業務システム(ERP)導入や分析基盤の整備で営業・調達・価格設定の標準化を進め、2026年度の資本支出見込みは3,000万〜3,500万ドルを想定してITと成長投資を優先します。さらに現場向けの自動化・ロボット、マシンビジョン、センサ技術の取り込みは買収と内製の両方で進めており、情報セキュリティ面でもNISTフレームワーク準拠やISO/IEC 27001認証を掲げてリスク管理を強化しています。