Ameren Illinois CoAILIH

時価総額
PER
電力・天然ガスの大手。送配電・発電・原子力燃料管理、配電網近代化と再生可能エネルギー投資を展開。2024年に長期債2,535百万ドル発行、従業員数8,981人。米国中西部(ミズーリ州・イリノイ州)に展開。

事業内容

Ameren Illinois Coはイリノイ州で電力と天然ガスの配給・送配電を担う規制事業者です。同社は家庭や企業に電気やガスを安定的に届けるため、配電網や変電所、ガス配管などの設備を維持・更新しています。

同社の主要顧客は住宅(個人世帯)、商業施設やオフィスといった商業顧客、工場などの産業顧客で、顧客区分ごとに電力・ガス供給とそのサービスで収益を得ています。収入の多くは州の公共規制当局が認可する料金制度に基づく送配電や供給の対価で成り立ち、燃料費など一部費用は料金に反映して回収しています。

事業は大きく電力の配電、電力の送電、天然ガスの供給というセグメントで構成されており、それぞれに応じた料金体系とサービスを運営しています。加えて、電力調達やグループ内の取引を通じて運転資金や設備投資を行い、供給の信頼性と安全性の向上に注力しています。

経営方針

同社は規制事業を通じた持続的な成長を目指しています。成長の源泉は電力・ガスの配電網や送電網への投資で、設備投資によるレートベース(規制資産の拡大)を通じて安定した収益を確保する戦略です。規制当局が認めるリターンとして、電力配電事業での許容ROEは8.72%、天然ガス事業では9.44%に設定されており、同社はこれらの許容ROEを達成・維持することで株主価値と顧客サービスの両立を図っています。また、親会社レベルでは2024年に約4.3十億ドルの設備投資を実施しており、同社も数年にわたり「数十億ドル規模」の投資を継続する姿勢です。

同社は重点投資分野として信頼性の向上と再生可能エネルギーの受け入れ余地確保に注力しています。具体的には老朽化した配電設備や送電線の更新、系統の自動化・遠隔監視機能の導入、そして需要側の省エネ施策や顧客向けのエネルギー選択肢の拡充に資金を振り向けています。差別化要素としては、規制枠組み(たとえば多年度料金制度や再審査(MYRP)や収入安定化を図るVBAといった料金調整メカニズム)を活用して費用回収の確度を高める点と、地域の規制機関や利害関係者との協調を通じた政策提言力を挙げられます。

新市場開拓や事業拡大では、同社は既存の配・送電インフラを起点に、送配電の強化や地域経済への誘発効果を通じて需要基盤を広げようとしています。たとえば送電系の大型案件や、ゼロエミッション電源に関するクレジット購入義務(州法による枠組み)への対応など、州単位の政策に合わせた事業展開を進めています。また、代替的な収入プログラムや自動的な料金調整メカニズムを用いて、景気変動や需要変動に対する収益の安定化を図る計画です。

同社は技術革新を経営の中核に据えており、グリッドのデジタル化と人材のデジタル化を同時に推進しています。具体的には配電自動化、遠隔センシング、データ解析による予知保全、顧客向けの需要管理サービスなどを導入し、運用コストの低減と信頼性向上を目指しています。人材面でも従業員数は約3,100人で離職率はおおむね6%程度と安定しており(2024年実績)、技術系人材の育成や安全・サイバー対策の強化を通じて新技術の現場適用を加速させています。