Avangrid, Inc.AGR

時価総額
$139.4億
PER
17.7倍
電力・ガスの送配電と再生可能エネルギー事業の大手。風力・太陽発電資産と規制ユーティリティを展開。欧州大手電力グループによる2008年の買収と2015年の同業買収を経た資本関係。米国東部を中心にニューヨーク、コネチカット、メイン、マサチューセッツで展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
1社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Avangrid, Inc.は米国で電力と天然ガスの供給および再生可能エネルギーの開発・運営を行う総合エネルギー会社です。同社は地域の配電・送電網を運営するとともに、陸上・洋上の風力や太陽光、蓄電池などの発電事業に注力しています。

主要な顧客は米国北東部の家庭や企業の電気・ガス利用者に加え、電力卸売市場や長期電力購入契約を結ぶ法人顧客です。収益は州の規制に基づく料金収入が安定的に入るネットワーク部門と、発電による売電収入や政府の補助・税制優遇を得るリニューアブル部門で成り立ち、双方で収益の安定と成長を図っています。

同社は大きくネットワーク(規制事業)とリニューアブル(発電事業)の二つの報告セグメントを有し、コーポレートやサービス系の事業も補完しています。ネットワーク部門は配電・送電および天然ガスの配給を担い、リニューアブル部門は風力・太陽光・蓄電池の開発・運営やプロジェクトへの出資、電力販売契約による収益確保を行っています。

経営方針

同社は規制事業(Networks)と再生可能エネルギー事業(Renewables)の二本柱で安定的な成長を目指しており、資本支出を通じた有形投資で事業規模を拡大しています。2023年の資本支出は約23.07億ドルで、NYSEGが8.52億ドル、RG&Eが4.10億ドル、CMPが5.54億ドル、UIが2.64億ドルなど電力・ガスのネットワーク改良に重点配分されています。こうした大規模投資により、基盤設備の更新とサービスの信頼性向上を図ることで規制収入の安定化と長期的な収益基盤の拡大を図っています。

重点投資分野は送配電網の近代化と再生可能発電のポートフォリオ強化にあります。同社は変電所の近代化、嵐対策(storm resiliency)、系統自動化(grid automation)、老朽化インフラの置換などを進める一方で、風力・太陽光の共同事業や持分投資も拡大しています。具体的にはFlat Rock Iが231MW、Flat Rock IIが91MWの設備容量を有し、また税制投資(税額控除)や政府助成金を活用しており、2023年末時点で再生可能部門に関連する繰延収入(助成金)は約9.95億ドルとなっています。これにより他社との差別化として、規制収入の安定性と助成金・税制を活用した資金調達の多様化を両立させています。

新市場開拓や事業拡大では、ジョイントベンチャーや買収による発電ポートフォリオの拡張を進めています。例えばTatankaやPoseidonなどの持分投資、Vineyard Windなど親会社グループと連携した洋上風力案件への関与、さらにPNMR(PNM Resources)との合併を通じた事業統合の動きが見られます。資金面では2023年に親会社系の800百万ドルのグリーンローンを組成するなど長期資金を確保し、Lund HillやAeolus VIII向けの税エクイティ投資受け入れ(合計で約1.99億ドル)など外部投資家の資金を取り込むスキームも活用しています。

技術革新への取り組みでは、スマートメーターや自動化による運用効率の向上と、再生可能電源を系統へ統合する能力の強化に注力しています。具体的には自動検針(AMI)や配電系統の自動化、分散型エネルギー資源の管理に向けたプログラムを進行中で、これにより停電時間の短縮や需給の柔軟化を実現しようとしています。また大型案件の評価や買収時には外部の評価専門家を活用するなど、技術・資本双方のリスク管理を徹底して事業価値を高める方針です。