同社は農業向け融資と農村インフラへの資本供給を拡大することで事業規模の成長を図っています。2024年は四半期ごとのコア収益が各四半期で約3,980万〜4,490万ドルのレンジで推移し、年間合計で約1.72億ドル、普通株主帰属の純利益合計は約1.80億ドルと堅調な収益基盤を示しました。株主還元と成長投資のバランスにも配慮しており、取締役会は資本の強さを踏まえて四半期配当を2025年第1四半期から1株当たり1.50ドルに引き上げ（前年から7％増）しています。投資家価値の目安として、2024年6月30日時点の非関連株主保有時価総額は1,754,045,827ドルでした。

同社は投資の重点分野として伝統的な農地・農業ローンに加え、企業向け農業ファイナンスや電力・公益、ブロードバンド、再生可能エネルギーといった農村インフラ領域を掲げています。差別化の核は「保証と購入」を組み合わせたAgVantageプログラムにあり、これは貸し手が発行する証券を同社が保証・取得する仕組みで、2024年12月31日時点の未払い元本残高は約$8.5 billion、時価は約$8.2 billionに上ります。こうした保証モデルと、資金調達・ヘッジを一括管理するFunding部門による資金配分の仕組みが、地域の貸し手に対する流動性供給と市場での競争優位をもたらしています。

同社は新市場の開拓と事業拡大に重点を置いており、特に農村ブロードバンドや再生可能エネルギー、電力網向けの長期プロジェクト融資を拡大する計画です。大規模な農業事業者やサプライチェーン企業向けのCorporate AgFinanceも拡充し、複数のセグメント（Farm & Ranch、Corporate AgFinance、Power & Utilities、Broadband Infrastructure、Renewable Energyなど）を通じて貸出・保証の対象を多様化しています。資金面では債券発行や既存の優先株シリーズを活用することで成長資金を確保しつつ、配当維持と規制上の資本要件の両立を目指しています。

同社は技術革新を経営課題の一つに位置付けており、2024年第四四半期に投資・AgVantage・債務ポートフォリオおよび資金管理の記録システムを近代化しました。こうしたシステム刷新により、与信評価や資産の公正価値算定（割引キャッシュフローやモンテカルロ方式を含む複雑モデルの運用）を強化し、リスク管理やヘッジ戦略の精度向上を狙っています。加えて、価値算定に関する独立した評価やプロフェッショナルの関与を通じてモデル検証を行い、透明性とコントロールの向上を図っています。

	2012/12	2013/12	2014/12	2015/12	2016/12	2017/12	2018/12	2019/12	2020/12	2021/12	2022/12	2023/12	2024/12
ROA	0.6	0.8	0.5	0.5	0.5	0.5	0.6	0.5	0.5	0.5	0.7	0.7	0.7
ROE（％）

FEDERAL AGRICULTURAL MORTGAGE CORPAGM