ALLIANCE ENTERTAINMENT HOLDING CORPAENT

時価総額
PER
音楽・映画・ゲームなどの物理メディア流通とeコマース向けフルフィルメントの最大手。ビニールやDVD、ゲームソフトなどの限定版物理メディアと325,000品目超の在庫を持つフルフィルメントサービスを展開。2022年7月にThink3Foldを買収、2023年2月にSPAC合併で上場。米国・欧州中心に展開。

事業内容

ALLIANCE ENTERTAINMENT HOLDING CORPは、音楽、映画、ゲーム、コレクター商品などの物理的なエンターテインメント商品を中心に卸売・小売・流通と、それらを支えるフルフィルメントやeコマースのサービスを手掛ける企業です。 同社は倉庫保管や物流、店舗やネット販売の受注処理といったバックオフィス業務を一貫して担い、直接消費者向けの販売も行っています。

同社の主要な顧客は大手小売業者やオンラインストア、レコード会社や映画スタジオなどのサプライヤーで、収益は商品の卸売販売とフルフィルメントや物流の手数料、直販チャネルからの売上やマーケティングサービスから成ります。 また、限定版や専売商品の取り扱いによって高付加価値の収益機会を狙っています。

事業は大きく分けてコンテンツメディア(ビニール盤、CD、DVD、Blu-rayなど)の流通、ゲームやコレクタブル/玩具の卸・小売、そしてフルフィルメントとeコマース支援の三本柱で構成されています。 同社は顧客向けの電子データ連携や物流管理、顧客関係管理によるパフォーマンスマーケティングを使って直販を強化し、買収で品揃えと流通ネットワークを拡大する戦略を取っています。

経営方針

同社は成長を「既存事業の最適化」と「高収益分野への投資」の両輪で実現することを目指しています。具体的には物理メディアや流通のコア事業で収益性を高めつつ、よりマージンの高い先端技術ソリューションや付加価値サービスへ注力する方針です。経営陣の成果連動報酬を見ると、業績指標はEBITDA(利払い・税金・減価償却前利益)成長を重視しており、前年比で10%以上のEBITDA成長で現金ボーナスを満額支給する仕組みを導入しています(成長率に応じて按分、1%未満では不支給)。また、株主価値向上のインセンティブとして株価目標に連動する追加株(最大6,000万株のクラスE)が設定されており、例えば株価が5年以内に20ドル、7年で30ドル、10年で50ドルに到達すればそれぞれ2,000万株ずつがリリースされます。

同社は投資の重点を物理メディア(レコード、ゲーム、映画パッケージ、コレクタブル)とフルフィルメント(倉庫・物流・EC配送)、およびそれらを支えるプラットフォーム技術に置いています。差別化の核は「サービス」「品揃え」「技術」の三本柱で、在庫数は約325,000品目(SKU)を保有し、主要小売やサプライヤーが依存する供給網を築いています。成長手段としては既存取引先との関係強化や店舗・直販チャネルの拡大に加え、過去に10件程度の買収で規模を拡大してきた実績があり、インテグレーションを通じた費用効率化や販売拡大を目指しています。

新市場開拓と事業拡大では、同社は直接販売(DTC)や小売のバックオフィス代行としての役割強化を狙っています。具体例として、買収したThink3Foldは既存顧客への棚割りや製品ライン拡充に寄与しており、同社が報告したThink3Foldの2023会計年度の売上は16,112千ドル(約1,610万ドル)となっています。加えて、電子データ交換(EDI)や物流の運用基盤は既に小売向けに稼働しており、新商品の追加や小売ドットコムのフルフィルメント業務受託で売上拡大を図る計画です。国際展開も今後の柱と位置づけており、海外市場での提携や現地化を通じて販路を拡大する方針です。

技術革新面では、同社は顧客管理システム(CRM)を活用したパフォーマンス型マーケティングや、メール・外向けコミュニケーションによる顧客育成を強化しています。また、物流と受発注をつなぐEDIやバックエンドのプラットフォームを深化させることで、在庫回転や出荷精度の改善を図っています。内部統制・IT管理面ではユーザー権限の定期見直しや外部ベンダーの活用を進め、会計・報告プロセスの精度向上に向け第三者と連携して重要な業務フローと統制を整備中です。同社はこれらの技術・管理投資により、スケールメリットを実現しつつ高付加価値サービスへの転換を目指しています。