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AEHR TEST SYSTEMSAEHR
事業内容
AEHR TEST SYSTEMSは、半導体デバイスの信頼性確認や品質試験向けの装置を設計・販売する企業です。同社はウェハー単位や個片(ダイ)・モジュール向けの長時間試験や高温負荷試験を行うシステムを主力とし、FOXファミリーやWaferPak/DiePakなどの製品群を展開しています。これらの装置は製造ラインでの不良検出や製品寿命評価に使われています。
主要顧客は電気自動車(EV)やパワー半導体分野の大手メーカーや独立系テストラボで、近年はEV・パワー分野が売上の大部分を占めています(2024会計年度は約92%)。同社は海外顧客が中心であり、売上は一部の大口顧客への依存や受注・納期の偏りにより四半期ごとに変動しやすい収益構造になっています。
同社の事業は単一の報告セグメントで運営し、製品ラインはシステム本体のほか、接続用のパッケージや自動化装置、インストールや保守を含むサービスに分かれます。研究開発や現地でのアプリケーション支援に注力し、最終組立は本社拠点で行いつつ多くの部品を外部調達で賄っています。
経営方針
同社は中長期的な成長に向けて、収益の高い電気自動車(EV)およびパワー半導体分野を軸に拡大することを目指しています。実際にEV・パワー分野の売上比率は2024年に92%に達しており、これらの顧客基盤を深掘りすることで売上安定化と利益率向上を図ろうとしています。財務面では、2024年5月時点でのATM制度により約1,770万ドルの調達枠が残っており、必要に応じて資本市場を活用して成長投資や在庫対応の資金を確保する計画です。
同社は研究開発と製品差別化に重点投資を行っており、研究開発費は2022年の580万ドルから2024年には870万ドルへと増加しています。製品面ではFOXシリーズやAutomated WaferPak Alignerといった独自のテスト・耐久試験ソリューションを強化し、110以上の有効特許(有効期限は2024年〜2041年)で技術的優位を守るとともに、最終組立は本社(フリーモント)で行いサポート体制を維持することで顧客サービスを差別化しています。加えて、設備や製造の多くを外部調達に依存する一方で、独自性が高い部分は内製化して品質と納期を確保する方針です。
市場開拓と事業拡大では、外部成長策を積極的に採用しており、2024年7月15日にパッケージ部品の信頼性・バーンイン試験に強みを持つIncal Technologyを買収する契約を締結しました。買収対価は合計2,100万ドルで、うち1,400万ドルを現金、700万ドルを自社株で支払う条件で、2025会計年度第1四半期の完了を見込んでいます。こうした買収により製品ポートフォリオを拡充し既存顧客への販売機会を増やすと同時に、海外顧客向けのサービス拠点や代理店網を通じた販売拡大を図る計画です。
技術革新への取り組みとしては、次世代デバイスの試験・バーンイン能力向上に向けた製品改良とプロセス開発を継続的に行っています。具体的な施策としては、顧客の歩留まり改善やテスト時間短縮に対応するための製品機能追加、クラウドを含む情報システムの強化による顧客データ活用、そしてエネルギー効率改善(省スペース設計・高効率冷却)の実装です。これらにより顧客の製造工程変化にも迅速に対応し、長期的な競争力の維持を目指しています。