AMERICAN COASTAL INSURANCE CorpACIC

時価総額
$5.7億
PER
商業用損害保険の有力企業。商業レジデンシャル保険と個人住宅保険(2024年商業保険料$647,805,000)を展開。2025年2月13日にNYDFSがIIC譲渡を承認、2025年4月1日閉鎖予定。米国フロリダ州・ニューヨーク州を中心に独立代理店網での展開。

事業内容

American Coastal Insurance Corporationは持株会社として保険事業を展開しており、主に商業用の住宅向け財産保険(コンドミニアム協会や賃貸アパート向け)を中心に引き受けています。 同社は子会社を通じて保険契約を発行し、リスク管理や価格設定を行いながら事業を運営しています。 また個人向けの住宅保険も限定的に取り扱っています。

同社の主要な顧客はフロリダ州を中心としたコンドミニアム協会や賃貸住宅の運営者で、2024年の総保険料の大半(約94%)が商業向け住宅保険から得られています。 個人向け住宅保険は売上全体の約6%弱にとどまり、保険料収入が同社の主たる収益源です。 一部の商品ではリスクを他社へ移す形で手数料収入を得ています。

事業は実質的に「商業ライン」1区分で運営しており、建物や設備の損害に対する多目的の財物保険が主力商品です。 同社は自然災害リスクを踏まえた価格設定と再保険、外部のリスクモデルを活用してポートフォリオの損失抑制に努めています。 販売面では商業商品を専門の代理店ネットワーク(AmRisc経由)で流通させ、個人向けは約400の独立代理店を通じて展開しています。

経営方針

同社は主に商業用住宅(コンドミニアム等)の保険を中心に成長することを目指しています。直近の2024年実績では総保険料のうち商業部門が約6億4,780万ドル(全体の94.2%)を占め、個人向けは約3,970万ドル(5.8%)でした。保有契約数は2024年末で約23,060件、発行株式数は2025年3月時点で48,248,630株となっており、同社は有利な地域集中を活かして引き続き引受けの健全性(損害率やコンバインドレシオの管理)を重視した成長を目指しています。

重点投資分野は引受けの精度向上と流通チャネルの強化にあります。同社は価格付けアルゴリズムと外部のモデルを組み合わせ、住所単位での風災等の想定損害(PML)や総保険対象額(TIV)を管理してポートフォリオを最適化することを目指しています。また、フロリダの商業部門はAmRiscを通じた独占的流通ネットワークに依存しており、約400の独立代理店向け研修や定期レビューで代理店との関係強化を図ることで、大手との価格競争とは異なる代理店密着型の差別化を図っています。

新市場開拓や事業再編も戦略の一部です。同社はこれまで有機的成長に加えAmCoやIICの買収、Tokio Marine Kilnとの提携などで拡大してきましたが、直近ではIICをForzaに売却する合意(買収対価は売却時のIICのGAAP株主資本と等価、NYDFS承認を経て2025年4月1日にクロージング予定)を行い、事業ポートフォリオの最適化を進めています。今後も同社は自社モデルを補完する買収や提携を検討する一方、規制承認や統合コスト、キーパーソンの確保といったリスク管理を重視して拡大を図る方針です。

技術革新には情報セキュリティとデータ分析の両面で投資を行っています。情報セキュリティはCISOが主導し監査委員会と取締役会が監督、外部ベンダーやSOC(セキュリティ運用センター)と連携してペネトレーションテストや机上演習を実施するなど防御・検知能力の強化を目指しています。同時に、引受け・価格設定では第三者のリスクモデルや社内のアルゴリズムを活用し、ZIPコードや住所単位でのリスク評価を行うことで損害率改善と再保険コストの最適化を狙っています。