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ARCH CAPITAL GROUP LTD.ACGL
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事業内容
ARCH CAPITAL GROUP LTD.は世界的に保険、再保険、住宅ローン保険を提供する持株会社で、慎重なリスク選定と適切な価格設定で引受利益を目指すことを基本方針としています。同社はデータと戦略的な分析を用いて一貫した引受基準を適用し、迅速で満足度の高いクレーム処理に注力しています。
主要な顧客は企業のリスク保有者や金融機関、住宅ローンを扱う貸し手、中堅企業などで、販売は主に国際的・国内の独立ブローカーや卸売業者を通じて行っています。同社の収益は保険料が中心で、再保険収入や保険関連手数料、投資収益が収益構造を支え、ブローカーへの報酬には出来高に応じた追加支払いが含まれることもあります。
事業は大きく損害保険(財産や賠償責任など)、再保険、住宅ローン保険の三本柱で構成しています。同社はエンタメや米国中堅市場向けの引受を強化するMCE買収のような戦略的な拡張を行い、分析力とスケーラブルな引受プラットフォームで市場環境に応じて事業規模を調整しています。
経営方針
同社は安定した成長と株主還元の両立を目指しています。2024年の純利益は約43億ドル、営業活動によるキャッシュ創出は約67億ドルと強い収益力を示しており、時価総額は約366億ドル規模です。成長戦略の一環として、資本効率の改善と株主還元を重視しており、取締役会は総額10億ドルの自社株買い枠を承認しているほか、優先株やオプションを活用した人材インセンティブも実行しています。これらにより、同社は収益拡大と資本の最適配分を両立することを目指しています。
同社は保険引受での収益確保と専門分野への選択投資を重視しています。均一な引受基準による慎重なリスク選別と適正な価格付けで引受利益を確保する方針で、迅速な損害処理や複数チャネルによる販売網の活用で差別化を図っています。投資面では、持分法適用投資が約60億ドル規模で、これらの投資から2024年に約5.8億ドルの利益を計上しており、プライベートエクイティやクレジット、商業用不動産など成長が見込める分野に重点的に配分しています。こうした資産配分と引受の組合せで、同社はリスク調整後の収益改善を目指しています。
同社は買収と地域拡大で事業基盤を強化しています。代表例として、2024年8月に実行したアライアンスの米国中堅・エンタメ保険事業買収は現金45億ドルではなく4.5億ドルの対価で完了し(取得資産総額は約33億ドル、のれん約2.46億ドル)、取得時点で総資産の約1.6%、収益の約3.5%を占める規模でした。この買収により米国中堅市場やエンタメ分野へのプレゼンスを高め、欧州大陸やロンドン市場での事業拡大や、モーゲージ分野での資本安定化取引(CRT)など新たな案件への参画を通じて成長を図る計画です。将来的にも選別した買収や戦略的提携を通じて、専門性の高い分野でのシェア拡大を目指しています。
同社は技術革新を経営の核心に据えています。引受・価格付けにはデータ解析を全面的に活用しており、外部システムとの連携を含めたIT基盤の強化に継続投資しています。生成型を含む人工知能の利用は限定的かつ慎重に行い、社内に人工知能のガバナンス委員会を設置し最高情報責任者や最高情報管理責任者らがIT委員会で監督しています。サイバー対策では四半期ごとの報告、従業員教育やフィッシング訓練を実施し、買収統合後の内部統制も外部監査(PwC)で有効と評価されており、同社は安全性と機能性を両立させた技術投資で競争優位を高めることを目指しています。