- 米国企業
- ACADIA PHARMACEUTICALS INC
ACADIA PHARMACEUTICALS INCACAD
事業内容
ACADIA PHARMACEUTICALS INCは中枢神経系(CNS)障害と希少疾患向けの医薬品を開発・販売するバイオ医薬品企業です。同社は米国で承認された主力製品として、パーキンソン病に伴う幻覚・妄想の治療薬NUPLAZIDとレット症候群の治療薬DAYBUEを販売しており、これら2製品の2024年の純売上高は約9億5,780万ドルに達しています。
主要な顧客は患者とそれを治療する医療機関や保険者で、収益構造は基本的に承認済み医薬品の販売収入に依存しています。同社の業績は製品の販売維持や保険償還の状況、ならびに新製品の商業化の成否に大きく左右されます。
同社は事業を神経領域の二つのフランチャイズ、すなわち神経化学領域(NUPLAZID)と神経希少疾患領域(DAYBUE)を中核に構成しています。パイプラインにはプラダー・ウィリー症候群向けの経鼻カルベトシン(ACP-101、フェーズ3)や、アルツハイマー病精神病向けのACP-204(フェーズ2)、本態性振戦向けのACP-711(将来のフェーズ2予定)などがあり、同社はこれらの開発と外部パートナーとの連携を通じて事業拡大を図っています。
経営方針
同社は神経精神領域と希少神経疾患を柱に、複数の実用化済み製品と候補品で成長基盤を築くことを目指しています。実績面ではNUPLAZIDとDAYBUEの2製品で、2024年の製品売上は9億5,780万ドル(2023年は7億2,640万ドル)に達しており、この収益を再投資してさらなる成長を図る方針です。NUPLAZIDについては米国内で年間約13万人が類似治療を受けている市場を想定し、現在約20%の市場シェアがあると見ており、市場浸透の余地を活かして売上とキャッシュフローの拡大を目指しています。DAYBUEはレット症候群で国内初の承認薬であり、米国内の患者数を5,500〜5,800人、広義の有病者を6,000〜9,000人と見積もっているため、新規患者の取り込みで拡大を図る計画です。
同社は重点的に商業体制と臨床開発に投資しています。営業面では訪問、オンライン、広告などを組み合わせた多チャネル戦略を導入し、営業人員の大幅増員や予測分析などのデータ活用でフィールド効率を高めることを目指しています。臨床面ではプラダー・ウィリー症候群のACP‑101がフェーズ3のCOMPASS試験中、アルツハイマー病精神病のACP‑204はフェーズ2を開始済みで、レビー小体認知症の試験を2025年第3四半期に開始予定、振戦治療のACP‑711は2026年にフェーズ2開始を想定しており、これら研究開発が差別化要因となっています。人材面でも従業員654名(2024年12月31日現在)を擁し、報酬や株式報酬、教育制度で優秀な人材の採用・定着に注力しています。
同社は市場拡大と事業の地理的多角化にも積極的です。DAYBUE(トロフィネチド)については米国・カナダ以外の市場への承認取得と展開を目指しており、海外拠点(スイス、ニュージャージーなど)を活用して国際展開を進める方針です。また、パートナーシップやライセンス、企業買収によるパイプライン拡充を明確な戦略に据えており、2024年には優先審査バウチャーの売却に関する資産売却契約を締結するなど資金面の柔軟性も確保しています。特許面では約54件の米国特許とそれに関連する多数の外国特許、さらに23件の米国特許権を独占使用するライセンスを保有しており、知的財産を活用した国際展開を図っています。
同社は技術とデータを成長の原動力と位置づけています。現場の効率化や患者導入には予測分析やリアルワールドデータの活用を進め、臨床試験や市販後データで有効性・安全性の裏付けを強化することで市場での差別化を図ることを目指しています。サイバーセキュリティや情報管理にも投資しており、臨床データや知財を守る体制を整えながら、研究開発の各段階でデジタルツールを活用して開発スピードと品質を高める取り組みを続けています。