ABEONA THERAPEUTICS INC.ABEO

時価総額
$2.6億
PER
細胞・遺伝子治療の臨床段階の新興企業。レト症候群などを対象とした遺伝子・細胞治療パイプラインを展開。2024年1月にAvenueと最大5,000万ドルの融資契約、2024年5月に7,500万ドルの株式公募実施。米国を中心に展開。

事業内容

ABEONA THERAPEUTICS INC.は、生命を脅かす疾患を対象にした細胞療法と遺伝子療法の研究開発を行う臨床段階のバイオ医薬品企業で、研究から製造までを手がけることで治療候補の実用化を目指しています。主力は遺伝性疾患向けの治療候補で、自社の実験室・製造設備を使って臨床試験に向けた製造体制を整えています。

同社の現在の収益源は、製品販売からではなく、提携先へのライセンス収入や共同開発契約、研究助成や資本市場を通じた資金調達が中心です。将来的には患者や医療保険者への販売で収益化を目指すものの、現時点ではパートナー企業や公的・私的な支援が主要な収入源になっています。

同社は事業を単一のセグメントとして捉え、細胞・遺伝子治療の開発に集中しています。具体的には臨床候補の開発プログラムや、臨床供給を支える製造能力の拡充(例:pz-celの製造能力拡大計画)や、他社とのライセンス契約・サブライセンスを通じた共同開発を進めています。また、外部の受託研究機関や専門サプライヤーと連携して臨床開発を進める体制を整えています。

経営方針

同社は主力製品候補「pz‑cel」の規制承認を最優先の成長目標とし、臨床開発の完了と商用化準備を通じて売上創出を目指しています。2024年の純損失は約6373万ドル、研究開発費は約3436万ドル、一般管理費は約2985万ドルと投資を拡大しており、同年末の現金等および短期投資は約9810万ドルでした。経営陣はこれらの資金と2024年5月の公募での総額7500万ドル(手取約7020万ドル)やATMによる追加売却などを組み合わせ、少なくとも開示日から12か月以上の運転資金を確保することを目指しています。

重点投資分野は臨床開発と製造能力の強化です。同社は臨床試験費用や前臨床評価、製造工程の拡大に重点的に投資しており、2024年の研究開発費は前年から増加しています。コーポレート面でも商業化準備費として約481万ドルを計上しており、自社での製造シフトや品質管理を強化することで競合との差別化を図っています。従業員は約136名を擁し、クリーブランドの約62,000平方フィートの施設に加え、オフィスを製造スペースへ転用するための追加契約(約16,566平方フィート)を結んでいる点も特徴です。

新市場開拓では米国と欧州市場での承認取得と販売体制構築を目標にしています。同社は自社販売網の整備だけでなく、ライセンスや共同開発による提携も活用して領域を拡大する方針です。資金調達面でも、2024年1月に上限5,000万ドルの貸付枠を含むローン契約を締結し(現時点での元本スケジュールは合計2,000万ドル)、株式公募やワラント発行を組み合わせることで開発資金と商業展開資金を確保する計画です。

技術革新への取り組みとしては、遺伝子や細胞を標的にした治療技術の改良と製造プロセスのスケールアップに注力しています。具体的にはウイルスを使った遺伝子運搬技術の工程改善、製造拠点の設備投資、臨床データの蓄積と規制対応の強化を継続して行っており、知的財産の維持・拡充にも資源を割いています。これらにより、安全性と有効性の両面で競争力を高め、承認後の迅速な市場投入を目指しています。