AbbVie Inc.ABBV

時価総額
$4053億
PER
研究開発型医薬品の米国最大手。免疫学、腫瘍、神経科向けの革新的治療薬を展開。2024年12月にAliadaを約14億ドルで買収、同年6月にCelsiusを2.5億ドルで買収。米国中心に世界展開、海外売上比率は約24%(2024年)。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
113文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
5項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

AbbVie Inc.は、革新的な医薬品や治療法の研究・開発から製造、販売までを手掛けるグローバルなバイオ医薬品企業です。同社は免疫疾患やがん、神経系、眼科領域に加え、美容(アステティクス)分野の製品を有し、既承認薬の提供と臨床開発中のパイプラインの両面で事業を展開しています。

同社の主要な顧客は卸売業者、医療機関、流通業者、政府機関や専門薬局で、米国では特に三大卸(McKesson、Cardinal Health、Cencora)向けの販売が収益の大部分を占めます。国際的には各国の医療制度やディストリビューターを通じて販売し、共同開発やライセンス契約からの収入も事業収益に寄与しています。

同社は事業を単一のグローバルセグメントとして運営し、経営陣が世界全体で資源配分と業績評価を行っています。研究開発と供給チェーンをグローバルに統括し、販売・マーケティングは地域別や治療領域別に組織化しています。さらに買収や提携を通じてパイプラインを強化し、既存製品の販売拡大と新薬の上市で成長を図っています。

経営方針

同社は持続的な成長と株主還元の両立を目指しています。具体的には、2024年の営業キャッシュフローは約188億ドル、純利益は約42.9億ドルを計上しており、事業からの強い現金創出力を基盤に配当(2024年の支払額は約110億ドル)と自社株買い(同年の取得額は約17.1億ドル)を継続しています。一方で成長加速のためにM&Aを積極活用しており、2024年は約175億ドルを買収に投じ、長期債発行で約169.6億ドルを調達するなど、キャッシュと資本市場を組み合わせてポートフォリオ拡充を目指しています。

同社は免疫学、がん(腫瘍学)、神経領域(ニューロサイエンス)、美療(エステティクス)、眼科を重点投資分野としています。差別化戦略としては、買収で未承認の研究開発資産(IPR&D)を取り込み短期間でパイプラインを拡大する手法を採っています。2024年は買収に伴う取得I P R & D とマイルストーン費用で約27.6億ドルを計上しており、ImmunoGenやCerevel、Aliadaといった企業買収やDJSやNimbleの技術プラットフォーム(HEPTADや経口ペプチド候補など)を取り込むことで、抗体を用いた治療や経口ペプチドなど複数の技術領域で競争優位を築いています。

新市場開拓や事業拡大は買収とグローバル販売体制の両輪で進めています。同社は事業を単一のグローバルセグメントで運営しており、CEOが資源配分を一元的に行うことで市場投入のスピードを上げています。2024年は海外売上が約24%を占めており、アルツハイマー(ALIA‑1758)、炎症性腸疾患(CEL383)、肺線維症候補(DJS‑002)や精神神経領域の候補など、未解決ニーズの大きい領域へ進出するために臨床開発と買収による補強を進めています。また米国内では主要3社の卸売業者を通じた流通が中核であり、それぞれの市場規制や保険体系に応じた商談力を強化しています。

技術革新への取り組みも同社の柱です。同社は研究開発投資と外部技術の獲得に重点を置き、無形資産の償却費用は2024年に約76.2億ドルに上っています。買収時の将来マイルストーンに備えた偶発債務(contingent consideration)は約216.7億ドルと大きく、成果連動型の報酬構造を通じてリスクとリターンを管理しています。加えて情報セキュリティとデジタル基盤にも投資しており、NISTのサイバーセキュリティフレームワークに準拠した体制を整備、外部評価を定期的に受けることで臨床データや患者情報の保護を図りつつ、データ駆動で臨床開発や製造プロセスの効率化を目指しています。