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- ALLIANCEBERNSTEIN HOLDING L.P.
ALLIANCEBERNSTEIN HOLDING L.P.AB
事業内容
ALLIANCEBERNSTEIN HOLDING L.P.は、グローバルな投資運用と投資リサーチを中核に事業を展開しています。同社は株式・債券を中心とした運用や、複数資産を組み合わせた戦略、オルタナティブ投資や責任投資(ESG)を織り込んだソリューションを提供し、高品質なリサーチを運用の基盤にしています。
同社の主要顧客は年金基金や保険会社などの機関投資家、金融機関、一般投資家向けの投信を利用する個人、そして富裕層のプライベート・ウェルスマネジメントの顧客です。収益は主に運用資産残高に対する運用手数料や一部の戦略で発生する成功報酬、ファンド販売などの手数料収入で構成しており、提携先との共同事業からの持分収益もあります。
同社の事業は大きく機関向けの投資運用、リテール向けファンド、富裕層向けの資産管理に分かれ、それぞれで株式・債券、マルチアセット、私募や代替投資といった商品ラインを持っています。定量モデルと基礎的な調査を組み合わせた運用を行い、新規商品開発のためのシード投資や調査・トレーディング機能の強化、責任投資の研究・運用にも注力しています。
経営方針
同社は「Deliver, Diversify and Expand, Responsibly, with Equitable」という成長戦略を掲げ、安定した収益と長期的な資産成長を両立させることを目指しています。具体的には、2024年末の総運用資産(AUM)は792.2億ドルと前年から約9.2%増加し、アクティブ戦略で年間純流入4.3億ドルを確保するなど、資金フローの改善に注力しています。収益性管理の面では、従業員報酬比率を調整後の純収益に対して50%以下に維持する目標を掲げており、2024年は約47.9%に収めるとともに、オペレーティングマージンは約4.1ポイント(410ベーシスポイント)改善しています。これらは収益拡大とコスト管理の両面を通じた成長を志向する姿勢の表れです。
重点投資分野として、同社は先進的な固定収益運用、代替投資・マルチアセット、プライベートマーケット、そしてリテール向けの運用商品を強化しています。投資パフォーマンスの指標では固定収益の資産のうち1年超で約57%がベンチマークを上回り、株式では1年で約45%がアウトパフォームしている一方、機関投資家向けのアクティブ株式では約10%の資金流出が見られました。差別化策としては、徹底した調査力を基盤に「再現困難な(idiosyncratic)リターン」を生み出すことを重視しており、グローバルなリサーチ体制や定量モデルを活用して属人的な知見とデータを組み合わせることで競争優位を築いています。
新市場開拓と事業拡大では、商品ラインの多様化とチャネル拡大を進めています。具体的な施策としては、CarValと組んだ小売向けの恒久型オルタナティブ商品(AB CarVal Credit Opportunities Interval Fund)の投入や、5本のアクティブ上場投資信託(ETF)を追加し合計17本、約55億ドルのAUMに拡大したこと、保険セグメントの立ち上げやエクイタブル(Equitable)との協業でプライベート市場の運用残高を約700億ドルまで育てた点が挙げられます。地域面では中国でのオンショア投信立ち上げやインドでの業務拡大を実行しており、小売チャンネルの売上は2024年に約999億ドルへ増加するなど、チャネル別の成長にも注力しています。一方で機関部門の純流出は課題であり、年間パイプラインの強化(年末時点で約107億ドル)を通じた回復を図っています。
技術革新と運用・業務の高度化にも投資しています。同社は高品質な調査を基盤とする一方で、定量モデルやシステムの信頼性を担保するためにモデルリスク管理の専門組織や専任のリスク責任者を設置し、四半期ごとの報告やガバナンスを強化しています。また、Bernstein Research Servicesをソシエテ・ジェネラルとの合弁に移行したことやニューヨークオフィスの移転など、研究・取引基盤と運営効率を高める施策を実施しており、これらがコスト効率とマージン改善に寄与しています。加えて、システムとサイバーセキュリティの強化、シード資本による新商品開発投資(数億ドル規模)を通じて、新しい投資ソリューションとデジタル化の両面で競争力を高める取り組みを継続しています。