Acadian Asset Management Inc.AAMI

時価総額
$15.5億
PER
システマティック投資運用の最大手。グローバル・新興・小型株やクレジット、オルタナティブの体系的戦略を展開。AUM約1,173億ドル(2024年12月31日現在)。パルソンが保有23.9%(2025年2月14日)で出資。米国中心に世界展開。

事業内容

Acadian Asset Management Inc.は、主にデータとモデルに基づく「システマティック」な投資運用を行う持株会社で、子会社のAcadian LLCを通じて株式やクレジット、オルタナティブなどのアクティブ運用戦略を提供しています。 同社はグローバル株式(先進国・新興国・インターナショナル・小型株)を中心に、リスク調整後のリターンを狙う体系的な手法を主力としています。

同社の主要な顧客は年金基金や政府系ファンド、官公庁、企業年金、財団、保険会社、プライベートバンクなどの機関投資家で、投資コンサルタントや外部委託運用(OCIO)、ファンド・オブ・ファンズを通じた関係も持っています。 収益は主に運用資産に応じた管理報酬が中心で、運用成績に応じた成功報酬や、個人投資家向けの委託運用・ミューチュアルファンド経由の収入も一部あります。

事業面では「Quant & Solutions」として、運用モデルやデータ解析を活かした複数の戦略群を運用しています。 同社は別途口座での受託運用と、複数のプール型ファンド(国内外の共同運用商品やUCITS、集合投資信託など)を通じて投資機会を提供し、エンハンスト・エクイティやエクステンション(130/30など)、システマティック・クレジット、株式代替戦略などで収益基盤の多様化を図っています。

経営方針

同社は成長戦略の中心に運用資産残高(AUM)の拡大と利益率の向上を据えています。2024年12月31日時点でAUMは約1,170億ドル、同年の管理報酬収入は$431.1百万、純利益は$85.0百万でした。成長施策としては既存戦略の規模拡大と新規販売の強化を通じたオーガニック成長を重視しており、役員報酬や利益分配により経営と運用チームの利害を一致させるプロフィットシェアリング体制でマージン拡大を図っています。また、資本配分の一環として取締役会は1億ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年には約$94.9百万を買い戻しています。同社はこれらの手段で長期的に経営効率を高め、株主価値の向上を目指しています。

同社は重点投資分野として、グローバル・新興国・国際・小型株のアクティブ株式に加え、クレジットやオルタナティブ戦略を挙げています。差別化戦略は徹底したデータ駆動のシステム運用にあり、65,000超の銘柄と150を超える市場を対象に定量的モデルで割安性を探索する点で他社と一線を画しています。加えて、手数料構造の多様化や「エンハンスド・エクイティ」「エクイティ・エクステンション(例:130/30)」「システマティック・クレジット」「エクイティ・オルタナティブ」といった高付加価値商品を推進し、1億ドル超を「アットスケール」と定義するプロダクトの数とそれらのパフォーマンス改善を通じて収益基盤の拡充を目指しています。実績面では、2024年の短期で収益ベースの約91%の資産がベンチマークを上回るなど、運用実績の高さを訴求材料としています。

同社は海外市場の開拓と販売チャネルの多様化を事業拡大の重要施策と位置づけています。主要クライアントは年金基金やソブリンウェルスファンド、保険会社、プライベートバンク、アウトソーシング運用会社(OCIO)などの機関投資家で、サブアドバイザリーチャネルやミューチュアルファンド、UCITS、共同投資信託を通じて個人系市場・DC(確定拠出年金)市場への露出も高めています。地域面では英・米・シンガポール・豪州など現地子会社を通じ既に規制対応を整備しており、非米国市場への更なる登録や販売網の拡大によりクライアント基盤を分散し、上位顧客依存(上位5先で約13%、上位25先で約35%の手数料収入構成)を低減することを目指しています。社名変更(2025年1月1日、Acadian Asset Management Inc.へ)によるブランディング強化も海外展開を後押しする狙いです。

同社は技術革新を競争優位の源泉と捉え、投資とリスク管理の両面でITと分析基盤への投資を進めています。機械学習や自動化を含むデータ解析インフラを用い、市場データや財務指標を大量に収集・解析してモデルを改良することで、低いヒューマンエラーと一貫した手法での運用を実現しています。人材面では長期インセンティブや繰延報酬制度を通じたキーパーソンの確保に注力し、長期報酬負債は2024年で約$48.4百万と投資を行っています。加えて内部統制の有効性を監査法人が確認しており、規模拡大に伴う運用・コンプライアンス体制の強化を通じて技術投資の効果を最大化することを目指しています。