Alcoa CorpAA

時価総額
$94.2億
PER
ボーキサイト採掘・アルミナ精製・アルミニウム製錬の上流統合型アルミ企業の最大手。再生アルミEcoDura、低炭素EcoLum、低炭素アルミナEcoSourceを展開。2024年8月にアルミナ関連企業を買収、2024年9月にサウジJVの25.1%売却で合意。北米・欧州・南米・中東・豪州・アジアで展開。

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企業概況
98文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

Alcoa Corpはボーキサイトの採掘からアルミナの精製、アルミニウムの製錬・鋳造、さらに一部の発電事業まで手がける上流から下流まで一貫したアルミニウム企業です。同社は一次アルミニウムや精製アルミナに加え、鋳造品や形状加工を施した付加価値製品、低炭素やリサイクルといった環境配慮型の製品も提供しています。

主要な顧客は自動車、航空機、包装、建設などの製造業者や、アルミナやアルミを取り扱うトレーダーや他の製錬会社です。同社の収益はアルミナ部門とアルミ部門の売上が中心で、第三者向けのアルミナ販売や一次アルミの販売、付加価値製品の販売が収益構造を形作っており、商品価格や電力コストの変動に収益が敏感に反応します。

事業は大きくアルミナ部門とアルミ部門の二つのセグメントで構成しており、アルミナ部門は自社鉱山と精製所で原料からアルミナを生産し、アルミ部門は製錬所や鋳造所、エネルギー資産を通じて一次アルミや各種鋳造製品を製造しています。同社は原料供給の近接性や再生可能エネルギーの活用を強みとし、多様な合金・形状の製品ラインと低炭素・リサイクル製品の比率拡大に注力しています。

経営方針

同社は成長を「資産の最適化」と「選択と集中」によって進める戦略を掲げています。直近では5年間の戦略見直しでアルミ精錬能力1.5百万トン、溶解・精錬能力4百万トンの削減・最適化を目標とし、アルミ溶解目標は約93%を達成するなど具体的な調整を進めています。株主還元と財務健全化も重視しており、四半期配当を1株あたり0.10ドルで実施する一方、最大5億ドルの自社株買い枠を設定し(2024年末時点で上限は5億ドル)、買収に伴う借入金385百万ドルは返済してデレバレッジを図るなど、資本配分を厳格に管理しています。

重点投資分野は上流の統合(ボーキサイト採掘→アルミナ精錬→アルミニウム製錬)と低コスト運営にあります。同社は自社資源や長期供給契約を活用して原料調達の安定化を図り、2024年はアルミナ生産で世界のコスト上位(第1四分位)に入るなどコスト競争力を確保しています。差別化の一つは再生可能エネルギーの活用で、同社の製錬ポートフォリオの約87%が主に水力などの再エネで稼働しており、Sustanaブランド(リサイクル含む低炭素製品群)で低炭素付加価値を提供しています。また知財面では世界で約360件の付与特許と約200件の出願を保有し、技術優位の構築にも投資しています。

新市場開拓と事業拡大は、M&Aや資本取引を通じて具体化しています。2024年8月1日にAlumina Limitedを買収してAWAC関係の持分を取り込み、買収対価は約27億ドル相当の規模(換算は当時の株価に基づく)で、株式交換比率は1株当たり0.02854のCDI換算という明確な条件で実行しました。一方でサウジの合弁事業(25.1%)はMa’adenへ売却する取引を進め、約150百万ドルの現金と約8,600万株のMa’aden株を受領する予定とするなど、地域・資産ごとに最適な資本配分を行い、ガバナンスの簡素化と戦略的選択肢の拡大を目指しています。豪州での二次上場(CDI)により追加の資金調達機会も確保できる点を活用しています。

技術革新には明確な投資方針があり、同社は「アルミナ精錬・アルミ製錬の長期的な低炭素化」を目標に研究開発と実証を進めています。例えば、低炭素化技術の実用化と事業化に向けた投資、特許取得、合弁や外部パートナーとの協業(Elysisやその他の技術プロジェクト参照)を通じて実現を図っています。設備・プロセスの効率化も重視しており、アルミ生産あたりの電力消費は施設により13.27〜16.77 MWh/トン、アルミナ生産あたり0.17〜0.30 MWh/トンといった具体的な実績を踏まえ、長期的にはエネルギー効率向上と再エネ比率の引上げで製品の低炭素化とコスト競争力を同時に高めることを目指しています。