AGILENT TECHNOLOGIES, INC.A

時価総額
$412.1億
PER
分析機器・診断・ゲノミクス分野の大手。自動化病理装置やフローサイトメトリー、NGS用試薬とmRNA向けCDMOサービスを展開。2024年9月にCDMO企業を9.15億ドルで買収。北米・欧州・アジア中心に製造拠点を展開。

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企業概況
109文字)
業績概況
テーマ
ブランド
2項目)
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

Agilent Technologies, Inc.は分析機器や試薬、ラボ向けソフトウェアとサービスを通して、臨床検査、生命科学研究、製薬開発を支援している企業です。主力製品は分離や質量の測定を行う分析装置に加え、病理検査用の染色装置や細胞解析機器、日常的に使う試薬・消耗品などです。

同社の顧客は製薬・バイオ企業、臨床検査を行う病院や独立系検査機関、大学や研究機関、外部委託で研究開発や製造を行う企業など多岐にわたります。収益は装置の販売だけでなく、試薬・消耗品の定期的な販売や保守・校正などのサービス収入、さらに受託製造による継続的な収入が重要な柱になっています。

同社の事業は診断・ゲノミクス領域、ライフサイエンス向け分析機器、ラボ向けのサービス群と受託製造の四つの柱で構成しています。診断・ゲノミクスでは病理検査や遺伝子解析向けの機器や試薬を扱い、受託製造はオリゴやmRNAなどを含む医薬原料の開発・生産を支援し、サービス部門は修理・保守、教育、運用支援などで顧客のラボ運営を支えています。

経営方針

同社は短期的には顧客体験の向上と製品の差別化で市場回復を取り込むことを成長の柱としています。直近では人員削減約400名(全社の約2%)や拠点統合を含むFY23のリストラクチャリングにより、3部門合計で年間約8,000万ドルのコスト削減を目指しており、これにより収益性の回復につなげる計画です。株主還元については2024会計年度に1株当たり年額0.944ドル、総額約2.74億ドルの配当を支払い、株主還元プログラム(自社株買い)を継続する一方で、債務残高は約34億ドル、現預金は約13.29億ドルといった財務バッファを維持しています。

重点投資分野としては診断・ゲノミクス、ライフサイエンス機器、そしてラボ向けサービス(CrossLab)に資源を集中しています。研究開発費は診断・ゲノミクスで約1.61億ドル、ライフサイエンス側で約2.55億ドルと依然高水準の投資を行っており、OMNISやPD‑L1アッセイ、次世代シーケンシング関連などの製品群で製品差別化を図っています。営業は直接販売、電子商取引、代理店・流通を組み合わせたマルチチャネルで行い、大手製薬や臨床ラボ向けに「機器+消耗品+サービス」を一体で提供することが競争優位化の要になっています。

新市場開拓と事業拡大では、2024年9月にBIOVECTRAを9.15億ドルで買収したことが大きな柱です。同社はこの買収によりオリゴ核酸系の受託製造や臨床から商業スケールのmRNA製造能力を強化し、医薬品製造受託(CDMO)領域への本格的な拡張を目指しています。買収による売上シナジーと既存の販売チャネル活用で製薬・バイオファーマ顧客への提供範囲を広げ、新興市場や発展途上国でのプレゼンス拡大にも注力するとしています。

技術革新への取り組みは製品ポートフォリオの強化と製造インフラ投資を両輪に進めています。組織は自動化された病理用装置(例:Dako Omnis、IQFISH)や細胞解析プラットフォーム(Seahorse、xCELLigence、Novocyte 等)、qPCRや自動電気泳動などの基盤技術を通じて臨床応用や研究用途での採用を拡大しようとしています。また、製造設備や品質管理の強化に資金を投じ、外部調達と内部生産を組み合わせることで納期・コスト・品質の改善を図る方針です。同社はこれらの投資を通じて「製品+サービス+製造能力」を一体化した提供体制を構築することを目指しています。