TRAVELERS COMPANIES, INC.TRV

時価総額
$629.1億
PER
12.6倍
商業向け損害保険の大手。労働者災害や商用自動車、商業多危険などの保険商品を独立代理店ネットワーク経由で展開。2024年にサイバー保険会社を約4.27億ドルで買収。米国中心に英国・カナダ・アイルランドなどで展開。

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企業概況
107文字)
業績概況
テーマ
ブランド
1項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

TRAVELERS COMPANIES, INC.は主に商業向けと個人向けの損害保険を引き受け、財産保険や賠償責任保険、労災に関する保険を中心にリスク管理や請求処理まで一貫して手掛けています。同社は保険料収入を主たる収益源としつつ、保有資産の運用益や代理店向けの手数料収入も獲得しています。

顧客は小規模事業から中堅企業、大企業まで幅広く、主に独立系の代理店やブローカーを通じて販売しています。同社の商業保険が収益の大部分を占め、国内市場が大半を占める一方で、英国やカナダなどでの国際事業やロイズでの引受も収入に寄与しています。

事業は大きく分けて小規模向け(自動化された引受で効率的に販売)、中堅企業向け(業種別に細かく引受・サービスを行う)、大口顧客向け(損失連動型の契約やリスク管理サービスを提供する)、商業用物件・特殊分野(運送業や農業向け、余剰市場向けの引受)および国際部門に整理されています。さらに、特殊リスクや保証、サイバー保険などを扱う部門も持ち、近年はサイバー専業の買収を通じて商品ラインを強化しています。

経営方針

同社は持続的で収益性の高い成長を目指しています。2024年の純利益は約50億ドル、同年末の総資本は359億ドルと、前年末から29.5億ドルの増加を記録しました。この増加は主に純利益と従業員によるストックオプション行使(約3.21億ドル)によるもので、一方で自己株式取得や配当(合わせて約19.62億ドル)で一部が相殺されました。資本管理面では、投資の時価評価損を除いた自己資本に対する負債比率が20.3%で、同社が設定する15%〜25%の目標レンジ内にあり、今後も配当と自社株買いを通じた株主還元を純利益を上回らない範囲で継続する方針です(2024年末時点で買戻し余力は約50.4億ドル)。

同社は事業の重点投資分野として商業保険の中核市場を重視しています。ビジネス保険部門の純保険料は2024年に約220.8億ドルに達し、うちミドルマーケットが約54.4%を占めるなど中堅企業向けが成長の柱になっています。差別化策としては、引受や損害処理、工学、アクチュアリーの専門家チームと長年蓄積した自社データを組み合わせ、精緻なリスク選別と価格付けを行うことで収益性を高めています。小規模事業向けの自動化された引受プラットフォームや代理店とのリアルタイム連携の強化といった具体策により、迅速な見積もり・発行や顧客体験の向上を図っています。

同社は新市場開拓と事業拡大をM&Aや再保険、海外展開で推進しています。2024年にサイバー保険のマネージング・アンダーライターであるCorvusを約4.27億ドルで取得し、同社のサイバービジネスを強化して既存ポートフォリオの収益改善を目指しています。また、ロイズのシンジケート(Syndicate 5000)や英国のSimply Businessなど国際事業を通じてカナダ、英国、アイルランドなどでプレゼンスを拡大しており、フェデリスとの引受枠拡充や少数投資を通じて新たなプレミアムを取り込む計画です。保険料規模は2022年の176.4億ドルから2024年の220.8億ドルへ増加しており、同社は「成長しつつも採算重視」の方針で拡大を続けています。

同社は技術革新を成長の重要なドライバーと位置づけています。人工知能やデータ分析を引受・価格設定・損害処理に活用し、リスク判定の精度向上や業務効率化を進めています。具体的には、代理店向けのリアルタイムインターフェースやSelect Accountsの自動引受システム、投資ポートフォリオの期間管理(キャッシュ市場取引や財務省先物を活用)などを実装しています。加えてサイバーセキュリティ対策の強化やCISOによる統括体制を整備し、顧客・自社双方のデジタルリスク管理能力向上に投資しています。投資運用面では総投資残高が約942.2億ドル、その約89%が固定利付証券で占められており、流動性確保と負債キャッシュフローとの整合性を保つことで保険金支払い能力を維持することも明確な技術戦略の一部です。