- 米国企業
- FISERV INC
FISERV INCFI
ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン
- 企業概況
- (112文字)
- 業績概況
- テーマ
- (1項目)
- ブランド
- (1項目)
- ライバル企業
- (1社)
- 同業種の日本企業
- (2社)
事業内容
FISERV INCは、決済と金融向けのソフトウェアや処理サービスを中核に事業を展開する大手フィンテック企業です。同社はカードや口座の取引処理、店舗向けの決済端末や管理ツール、デジタルバンキング機能、詐欺対策やデータ分析といった一連のソリューションを提供している。
主要な顧客は銀行や信用組合、大手・中小の商業者、政府機関や企業で、収益の多くは口座処理や取引ごとの手数料など契約に基づく処理・サービス収入が中心です。同社は長期契約や高い更新率を持つサービスで安定した継続収入を確保しており、売上の大部分は北米で発生しています。
事業は大きくMerchant SolutionsとFinancial Solutionsの二つに分かれており、Merchant側は店舗向けの決済サービス、POSやモバイル決済、加盟店向けのソフトやセキュリティを扱い、直接販売や代理店・ソフトベンダー経由で顧客に提供しています。Financial側は金融機関向けの口座処理システムやクラウド型のデジタルバンキングプラットフォーム、カード・小切手の処理、コンサルや運用代行などを提供し、銀行業務の基盤を支えている。
経営方針
同社は売上高の持続的な成長と収益性の向上を目指しています。2024年の総収入は約204.6億ドル、営業利益は約59億ドル、営業キャッシュフローは約66億ドルと堅調な実績を示しており、処理・サービス収入が全体の約81%を占める事業モデルを重視しています。成長の手段としては既存顧客への製品・サービス統合による収益拡大と、戦略的買収による外部成長の両面を掲げており、資本配分は内部投資、借入金の返済、自社株買いを組み合わせて行う方針です。配当は行わない一方で、取締役会は過去数年にわたり大規模な自社株買い枠を承認しており(複数回にわたる株数承認)、資本効率の改善を図っています。
同社は製品とサービスへの重点投資を通じて差別化を図っています。金融機関向けの口座処理やデジタルバンキング基盤、商業者向けの決済・端末プラットフォームなどを二本柱(MerchantとFinancial)に整理し、導入時の手数料やオンボーディング投資にも資金を割いています。具体的には、販売コミッションや導入コストとして資本計上している金額が総額で数億ドル規模(販売コミッション約4.8億ドル、導入関連約5.1億ドル、2024年時点)に上り、その償却も行いながら顧客獲得と定着を図っています。加えて、企業買収で得たのれんや無形資産が資産の約60%を占めている点は、買収を通じた成長と差別化戦略の裏付けである一方、資産構成上のリスクも内包しています。
新市場や事業領域の開拓は、買収とパートナー戦略で加速しています。2024年にはPOS端末や加盟店ネットワークを拡張する企業や、従業員向けの即時払いなど埋め込み型金融を強化する企業の買収を計画・進行中で、合計約3.6億ドルの買収契約を発表しており(クロージングは2025年初頭を想定)、これにより商取引の接点や組込型の金融サービスを拡大する狙いです。国際展開も継続しており、2024年の売上の約15%が米国以外からの収入であることから、地域的な拡大や現地パートナーとの提携を通じて新たなマーチャントや金融機関市場に参入しています。
同社は技術革新を成長の主要な原動力に位置づけ、データと人工知能を責任ある形で活用することを目指しています。具体的には顧客サービスの自動化、プラットフォーム分析、詐欺防止へのAI適用を既に実装しており、サービス指向の設計やクラウドベースのデジタルバンキング基盤を用いて製品の迅速な連携と拡張性を高めています。サイバーセキュリティ面ではリスク管理委員会による統制と、グローバルな専門チームによる防御体制でデータ保護を強化しており、研究開発や技術者教育、運用サポートへの継続投資を通じて競争優位性の維持を図っています。