Clearfield, Inc.CLFD

時価総額
$5億
PER
光ファイバー保護・管理・配備ソリューションの有力企業。『fiber to anywhere』プラットフォームとカセット型ファイバー製品を展開。2022年7月の買収でケーブル供給を垂直統合、特許53件保有(2024年9月30日)。北米中心に欧州、カナダ、メキシコ、カリブへ展開。

事業内容

Clearfield, Inc.は光ファイバーの配線・保護・配信に関する製品を設計・製造・販売しています。同社は現場での敷設工数やコストを減らし、より速く回線を開通させることを目的とした接続収納や保護部材、試験アクセス機能などを中心に提供しています。

主要顧客は流通業者や地域の通信事業者で、一部の流通業者が売上の大きな割合を占めています。売上は受注ごとの取引が中心で、2024年度は上位二社で約26%を占めるなど顧客集中がある一方、将来の購入義務を負う長期契約は基本的にありません。

事業は二つの報告部門に分かれており、一方は光ファイバーの管理・保護・配信機器を扱う部門、もう一方は買収した欧州のケーブル製造部門です。前者は家庭や事業所、基地局向けに工数と材料を削減する製品群を揃え、後者は自社でケーブルを供給することで調達効率と欧州での展開を強化しています。

経営方針

同社は「fiber to anywhere」を掲げ、ブロードバンド事業者向けの光ファイバー製品で成長を目指しています。明確な売上目標は公表していませんが、資本配分では株主還元と成長投資の両立を図っており、買戻し枠は合計6,500万ドルで、2024会計年度末時点で約1,729,780株・約4,007.7万ドルを買い戻し、残り約2,492.3万ドルを控えています。直近の業績は変動があり、2024年度は約1,245万ドルの純損失、2023年度は約3,253万ドルの純利益であったため、同社はキャッシュの活用とコスト構造の最適化で収益性の回復を図る方針です。

重点投資分野としては、屋外・屋内の光ファイバー保護・管理・配信製品の開発・製造と供給網の強化を掲げています。研究開発費は2024年度で約300万ドルを計上し、特許は53件を保有しています。差別化は「設置と作業を速め、労力と素材を減らす」製品設計にあり、同社の製品は顧客がより少ない資源で住宅を2倍の速度で接続できると説明されています。製造面ではミネソタとメキシコ(マキラドーラ制度を活用)での組立・出荷体制を整え、供給遅延や関税リスクに対処するための在庫管理と物流を強化しています。

新市場開拓と事業拡大では、2022年7月にノエスター(Nestor Cables、フィンランド)を買収し、ケーブルの垂直統合による供給安定化と欧州市場への製品展開を目指しています。買収対価は約790万ユーロに加え約760万ユーロの負債返済を含み、これによりFieldShieldなどの製品を北米に展開しやすくするとしています。国際販売はカナダ、カリブ、欧州、中南米が中心で、買収以降は欧州向け顧客比率が上昇しています。ただし為替リスクは無視できず、ユーロとドルの為替が10%動くと営業費用に約70万ドルの影響が出る見込みであるため、同社は為替と顧客集中のリスク管理も進めています。

技術革新への取り組みとしては、特許・商標による知的財産の保護に加え、製品の信頼性と現場での施工性向上を優先しています。製品品質向上のための試験や脆弱性対応、サプライヤーの監査、第三者の運用管理レビュー(SOC 2等)を通じたサプライチェーン管理を実施しており、サイバーセキュリティはISO/IEC 27001:2022を指針とした体制で運用しています。加えて、カセット型の光管理ソリューションやケーブルの供給最適化などで顧客の工数削減に直結する改良を続け、特許満了(2028年以降)を見据えて継続的な技術投資に取り組んでいます。