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Clearfield, Inc.CLFD
事業内容
Clearfield, Inc.は光ファイバーの保護・管理・配線ソリューションを設計・製造・販売しています。主力製品は現場で素早く配線・接続できるモジュール型の機器や保護ケース、宅内や集合住宅向けの配線部材などで、通信事業者がより速く低コストで光回線を敷設できるようにしています。
同社の主要顧客は地域の通信事業者やケーブル事業者、自治体・公共ユーティリティに加え製品を扱うディストリビューターで、販売は発注ベースが中心で長期契約は少ないです。売上は少数のディストリビューターに集中する傾向があり、地域的には北米が中心ですが買収を通じて欧州での取引も増えています。
事業はClearfield事業と、2022年の買収で加わった欧州のケーブル製造事業の2つの報告セグメントに分かれます。前者はカセット式のファイバーマネジメントや屋外の保護・接続機器、集合住宅向けの迅速な導入ソリューションを手掛け、後者は光ケーブルを自社で製造して調達の安定化と欧州市場での展開を支えています。
経営方針
同社は「fiber to anywhere」を掲げ、光ファイバー関連製品での成長を目指しています。具体的にはサービス提供事業者が家庭やビルに光を早く安く敷設できるよう、工数と材料を削減する製品群を拡充して市場シェアを伸ばすことを狙っています。財務面では現金・短期投資で約1.55億ドルを保有し、自己株式買い戻し枠を計上(合計65百万ドル枠、2024会計年度に約33.1百万ドルを実行、累計で約40.1百万ドルを買戻し、残余約24.9百万ドル)するなど、資本配分による株主還元も重視しています。
重点投資領域は製品開発と供給網の垂直統合です。研究開発費は2024年度で約300万ドル投じており、特許は53件保有(出願中も複数)しています。製造面ではミネソタの自社工場と、輸入・輸出の効率化を図るメキシコのマキラドーラ(最終組立を代行する体制)を連携させることで納期とコストの改善を図っています。差別化策としては組み立てや現場作業の手間を減らすカセット式の光管理機器や、現場での光管理・保護に特化したFieldShield製品群を通じて「より少ないリソースでより多くの住宅を接続する」ことを訴求しています。
新市場開拓と事業拡大では、買収を活用した展開が明確です。2022年7月にフィンランドのNestor Cablesを買収(取得対価は約7.9百万ユーロに加え既存債務の返済約7.6百万ユーロ)し、ケーブルの供給を自社で賄うことで輸送コストや納期の改善、欧州市場への製品導入を目指しています。国際販売はカナダや欧州、カリブ・中南米でも伸ばしており、Nestorの統合により欧州顧客基盤が拡大しました。さらに米国内ではBEAD(ブロードバンド普及支援)など公的資金の案件を取り込むため、国内調達要件(BABA)への適合も経営課題として対応しています。
技術革新への取り組みは製品設計と運用面双方で進められています。フィールドでの工数削減や再構成の容易さを重視した製品ポートフォリオに継続投資し、知的財産での保護を図る一方で、サイバーセキュリティはISO/IEC 27001:2022を指針にした体制で運用し、従業員教育や脆弱性検査、侵害対応計画を整備しています。またサプライチェーンの強靭化として複数調達ルートの確保や在庫管理の改善を進め、製品品質と納期を担保することで顧客のネットワーク構築を加速させることを目指しています。