BRADY CORPBRC

時価総額
$37億
PER
18.7倍
工業・医療向けの製品識別・印刷システムや圧敏材料の大手。ラベル、トレーサビリティ装置、印字システムを展開。2024年8月1日に仏リヨンの彫刻・マーキング企業を約12万ユーロで買収。米国本社、米欧亜を中心に展開、売上の約50%が国外由来。

事業内容

BRADY CORPは、工場や医療現場、オフィスなどで使う識別・安全関連の製品とソリューションを設計・製造・販売しています。主力製品は耐久性の高いラベルや識別材料、識別用プリンターや印字システム、現場の安全表示や資産管理を支援する機器とソフトウェアです。

同社の顧客は製造業、電子機器、医療、化学、エネルギー、自動車、航空や公共インフラなど多岐にわたります。売上は製品販売が中心ですが、プリンターやソフトウェアを組み合わせたソリューションや顧客向けのカスタム製品も重要な収益源で、約半分の売上を海外で得ています。

同社は地域別にアメリカ・アジアとヨーロッパ・オーストラリアの二つの報告セグメントで事業を運営しています。事業は識別製品(圧着性素材やラベル)、印字・スキャン機器、職場安全用品、デジタルサービスやソフトウェア開発に分かれ、研究開発と買収を通じて製品ラインとデジタル能力の強化を進めています。

経営方針

同社は持続的な売上と利益の成長を両立させることを成長戦略の中核に据えています。2024会計年度の売上高は約13.4億ドルで前年から0.7%増、うち有機成長は2.6%でした。粗利益率は49.4%から51.3%へ改善し、営業利益率も18.1%に上昇しています。財務基盤は堅牢で、手元資金は2.501億ドル、未使用の与信枠207.3百万ドルを含めた総可用流動性は約12.924億ドルに達しており、今後も買収と有機成長への投資、ならびに配当や自社株買いで株主還元を継続する方針です(配当は年0.94ドルから0.96ドルへ増配、買戻し枠は追加で1億ドル承認)。

重点投資分野としては、研究開発と高付加価値製品へのシフトが挙げられます。同社はR&D投資を強化しており、2024会計年度の研究開発費は6,770万ドル(売上の約5.1%)と前年から約10%増加しました。ワイヤー識別や製品識別、施設安全識別といった識別製品群や、圧力感応材料や印字・トレースのソリューションに注力し、独自の材料技術やソフトウエアを組み合わせたワンストップの提案で競合との差別化を図っています。加えて、在庫管理改善や輸送費削減によって粗利益率の改善を実現している点も競争力の源泉です。

新市場開拓と事業構造の最適化にも積極的です。同社は地域別の運営体制(Americas & Asia、Europe & Australia)を再編して地元の需要に即した販売戦略を展開しており、2024年度は米州・アジアで有機成長3.1%、欧州・豪州で1.6%の成長を記録しました。非中核事業の売却で事業の絞り込みを進める一方、2024年8月には彫刻・切断ソリューションのグローバル企業Gravotechを買収(買収対価は約€120,000と公表)するなど、関連領域での外部成長も推進しています。また、デジタル販売チャネルの拡大やマーケティング施策の強化でオンライン経由の売上比率を高める計画です。

技術革新については、製品開発だけでなく業務プロセスへの先端技術導入を重視しています。研究開発では材料応用や印字・スキャン技術を統合した製品開発を進め、社内では自動化や効率化投資を通じて製造・管理コストの低減を図っています。経営幹部の目標にも人工知能(AI)やデータ駆動型のマーケティング自動化の導入が明確に含まれており、これらを用いて販売力と生産性を同時に高めることを目指しています。