Zscaler, Inc.ZS

時価総額
$367.9億
PER
クラウド型セキュリティサービスの有力企業。クラウドプラットフォーム(ZIA、ZPA等)を展開。2024年3月にAvalorを約2.57億ドルで買収、2024年7月31日時点で顧客8,650超、Forbes Global 2000の約35%を顧客。米国中心に欧州、アジア太平洋、ラテンアメリカで事業展開。

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企業概況
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事業内容

Zscaler, Inc.は企業のインターネット接続や社内アプリへのアクセスをクラウド経由で安全にするソリューションを提供しています。同社は従来の境界防御に頼らない方式(ゼロトラスト)を採り、利用者や端末の場所に関係なくトラフィックをクラウド上で中継・検査して安全性を確保しています。

同社の顧客は大企業から中小企業まで幅広く、2024年7月時点で約8,650社を抱え、フォーブス・グローバル2000の約35%が顧客です。収益は主にクラウドプラットフォームの定期契約(サブスクリプション)と関連サポートで構成され、約半分の売上が米国外から発生し、特定顧客への依存度は低くなっています。

事業は単一の報告セグメントで運営し、製品はインターネット向けのセキュリティ、社内アプリへの安全な接続、データ保護や脅威検出などの機能を統合したクラウド型プラットフォームで構成されています。販売は自社営業と販売代理店などのパートナーを組み合わせ、まず一部導入してもらい利用範囲や機能を段階的に拡大して追加収益を得る戦略をとっています。

経営方針

同社は顧客基盤と継続収益(ARR)を拡大することを成長の中心に据えています。具体的には、2024年7月31日時点で8,650社超の顧客を抱え、フォーブス・グローバル2000の約35%を既存顧客として獲得している実績を踏まえ、同規模の大口企業への浸透をさらに進めることを目指しています。成長のために必要な投資を続ける一方で、売上高の伸び率は基盤の拡大に伴い鈍化すると見込んでおり、過去の成長率をもとに将来を単純に予測すべきではないと明言しています。資金面では、現金・現金同等物・短期投資が約24億ドル(2024年7月31日時点)あり、少なくとも次の12か月の運転資金は確保している一方で、引き続き投資により赤字を続ける見通しである点も投資家は留意する必要があります。

重点投資分野は製品の機能強化と顧客獲得力の両面にあります。同社はクラウドで提供する一体型のセキュリティプラットフォームを差別化軸としており、従来の機器(オンプレミス)中心の製品と対照的に、場所を問わずインターネット接続を安全にする点を強みとしています。研究開発拠点をサンノゼを中心にインド、カナダ、イスラエル、スペインにも置き、特許関連は発行・出願合わせて580件超、うち米国含め260件超が発行済みと知財面でも投資を続けています。機能追加や差別化のために他社技術の取り込みも進めており、Avalor(買収額約2.57億ドル、2024年)や過去の複数の買収による技術統合を具体的施策として行っています。販売面ではチャネルパートナー(通信事業者やシステムインテグレーター等)と共同で営業を行う「チャネル投資」と、アカウント重視のマーケティング強化を並行して進めています。

新市場開拓については、業種・地域の拡大を明確に打ち出しています。同社は米国連邦政府機関や米国外の政府機関への展開を目標に掲げ、アジア太平洋やラテンアメリカなど地域的な拡大にも注力しています。グローバル売上の約半分が米国外からの収益である現状を踏まえ、フォーブス上位企業や大手企業群への「ランド・アンド・エクスパンド」戦略──初めは限定機能や一部ユーザーで導入し、後に対象ユーザーや機能を拡大して年次収益を高める手法──を具体的に実行しています。例えば、インターネット保護機能のZIAから社内アプリ接続のZPAへと横展開するクロスセルがその一例で、これにより既存顧客からの追加収益獲得を狙っています。ただし、景気先行き不透明感により大口案件で承認手続きが長引く傾向があり、販売サイクルの延長を織り込んだ計画運営を行っています。

技術革新への取り組みは研究開発投資と買収による技術統合の二本立てです。同社はプラットフォームの機能性、可用性、拡張性を継続的に改善することを重視しており、これにはデータセンターや内部の情報通信基盤の拡張、システムの文書化と検証が含まれます。人工知能や機械学習による検知・自動化機能の開発も将来注力分野として挙げており、必要に応じて追加の技術買収を行って機能を素早く取り込む方針です。こうした技術投資を通じて、同社は「クラウドでの包括的なセキュリティ提供」という競争上の差別化を維持・強化することを目指しています。